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2018 年度 実施状況報告書

債権の実効性確保のための間接強制の弾力的活用-独・日・韓比較法研究-

研究課題

研究課題/領域番号 17K03446
研究機関福島大学

研究代表者

金 炳学  福島大学, 行政政策学類, 准教授 (40350417)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード間接強制 / 民事執行 / 諌早湾 / 民事訴訟 / ADR / 実効性確保 / アストラント / ドイツ民事訴訟法
研究実績の概要

当該年度において、報告者は、下記の3点から研究を推進した。
第一に、債権の実効性確保の観点から、債務名義を有する債権者の権利行使をスムーズにすべく、母法国であるドイツと姉妹法である韓国法のサンクション型債権実現スキームについて、考察を加えた。とりわけ、債務者に対する威嚇=屈服手段としての債務不履行者名簿の公開や人的拘束、第三者機関からの情報提供などについて、比較法的観点から、基礎資料をまとめた。この点、韓国の民事手続法研究者ならびに大法院司法政策研究院の判事らから、韓国での調査のための事前打ち合わせを行い、次年度以降に、現地調査の受入についての確約を得ることができた。
第二に、日本の民事執行法の改正案について、最新の動向をキャッチアップし、学術的観点のみならず、実際に運用に当たる裁判所、弁護士からの要望について、ひろくヒアリングを実施した。とりわけ、子の引渡し事案における間接強制の細やかな活用について、ドイツ法との観点から、考察を深めることができた。
第三に、紛糾している時事問題としての諌早湾干拓事案について、民事手続法および環境法の観点から、開門、開門反対のいずれの立場からも首肯しうる一貫した理論構築のための基礎的研究に着手した。とりわけ、現地で訴訟を担当している弁護団と意見交換をかさね、干拓事業のみならず、生業訴訟としての側面からの法社会学的アプローチを交えつつ、総合的な民事法領域全般からの考察をかさねることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当該年度において、報告者は、上記、研究実績の概要のとおり、研究を進めることができている。とりわけ、今年度は、次年度以降のアウトプットのためのインプット期間として、多くの文献を収集し、関係人との人的関係を構築することに成功した。
当初の予定より、民事執行法改正関連の議論が、膨大な量に及んだが、資料を収集することで、最新の状況を把握し、積極的に意見公開も行っている。
このような作業は、本研究遂行のみならず、大学の講義、市民講座での講演等を通じた社会的還元の側面の要請にも叶うものである。
なお、今年度、インプットした資料については、精査をかさね、既に、各種大学紀要、学術誌等への投稿・公開の準備を着実に行っている。
以上のような観点から、基礎資料の収集、考察、アウトプットの三点で、本研究は当初の計画以上に進展していると評価することが可能である。

今後の研究の推進方策

本研究を推進するに当たり、まずは、研究実績の概要で示した3点につき、引き続き、研究活動を深める必要があるとともに、それを担保する進捗度も設けることができている。
とりわけ、日本の財産開示制度については、民事執行法の改正議論と合わせて、比較法的考察を粘り強く行っていきたい。
あわせて、大法典たる民法債権法の改正と民事執行法改正予告により、実体法および手続法の領域全般から、図書の大幅な改訂が予定されかつ実施されているところ、これらの最新資料の収集のため、前年度予算から一定金額を振り分け、計画的に次年度に繰り越しを行っている。
諌早湾問題については、現地調査の必要性が高いところ、訴訟手続の経過を見計らい、弁護団等と面談を行うべく準備を重ねているところである。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は、大法典たる民法債権法の大改正が行われ、学術図書、実務図書が、相次いで発刊されているがいずれも高額な図書となり、これらの収集のため、今年度予算から計画的に振り分けたためである。
あわせて、本研究テーマの主たる領域である民事執行法も改正予告がされており、改正後の図書購入のため、一定予算を計画的に、次年度に繰り越している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 「韓国改正仲裁法邦語試訳」2018

    • 著者名/発表者名
      金炳学
    • 雑誌名

      行政社会論集

      巻: 31巻1号 ページ: 103-128

    • オープンアクセス

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公開日: 2019-12-27  

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