当該期間において、報告者は、間接強制制度の沿革に関する基礎研究を実施した。とりわけ、ドイツ民事手続法圏に属する日本と韓国の史的展開について、比較法アプローチを用いて深く掘り下げた。この視点は、従来、言語上の問題から必要性が認められつつも取り扱われなかった民事手続法の継受と伝播に関わる問題である。 また、報告者は、法の循環-西洋法とアジア法の交錯と環流という大きな流れから日本法の位置づけと韓国法への波及というテーマを深化させ、民事手続基礎法学に新たな切り口を拡げることができた。 残念なことに、コロナ禍のため、韓国現地に赴くことは叶わなかったが、ICTを用いていままでに培ってきた学術ネットワークを最大限活用し、継続的なテーマ研究を推し進めることができた。 今後は、本研究テーマによって得られた知見を基礎とし、日本を基軸とするアジアへの西洋法の環流過程で、当該地域に於ける特性によって債権の実効性ある実現のための間接強制を中心とする民事執行システムの発展的研究に尽力したい。
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