研究課題/領域番号 |
17K03448
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
青木 浩子 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (50301817)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 金融商品 / 大衆化 / 電子マネー / 情報セキュリティ / 業者責任 / 訴訟ファンド |
研究実績の概要 |
交付申請書平成29年年度研究実施計画に言及した論文は作成した。 海外動向についての研究は資料が集まりにくいために、訴訟ファンドによるファンディング(金融商品販売に係る訴訟で原告側に近時とくに豪州・英国でしばしば用いられる手段)というように視点をやや変え設定したところ問題が多岐にわたる(たとえば日米の民事手続実務の相違を踏まえないと比較が困難である)と判明したため、企業間の取引および知的財産上の主張に対象を絞りつつ関連の研究を進行中である。平成30年度後半から翌年にかけての完成公表を目指している。 各論問題については試行錯誤しているところであるが、(2)大衆化に関する問題について、やや複雑なIT技術に係る訴訟の例があることを手掛かりに、前払式支払手段をはじめとする広義の電子マネーをOSを備えた携帯電話(スマホ)やパソコンで使用した場合の事故に係る業者責任に関する論文作成に取り掛かった。並行して欧州の一般データ保護規則を研究しているが、すでに高度の研究が進められていることから論文としての研究発表にはやや時間がかかる見込みである。(1)の責任根拠に関する課題は、上のように調査を進める過程で当初の考えとはやや異なる形ではあるが(たとえばなぜ英国裁判所は日本にくらべ企業有利かという疑問は、上の訴訟ファンドの研究からある程度の情報が得られそうである)消化されていくであろう。 実習やそれに必要な知識の習得については比較的順調に方向性を見出しており、具体的には、国内でITパスポート試験を受験の後、米国の情報セキュリティ試験であるCISSPの準備中である。調査実習に必要なパソコンの実装を行った。科研費と自費とを合わせIT関係の図書を本年度中に60万円程度購入し、ほぼ目を通した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
もともと探索的要素が多い課題設定である上に、情報セキュリティに関する基礎知識を習得中であるため、1年目のアウトプットはあまり期待できないとすれば、おおむね課題を進められているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書に記載した平成30年度以降の海外における調査の対象について、金融商品販売もであるが電子マネー等の決済手段に係る責任問題に重点を置いて調査を行いたいと考えている(大衆向きである場合についてという点に変更はない)。そのほうがITに関する知見を応用しやすいというほか、事例が明らかに豊富だからである(民事法の典型的な論文は限られる第一次資料等からの読み込みが必要なようなので、研究の遂行にはある程度の時間が必要と思われる)。
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