研究課題/領域番号 |
17K03448
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
青木 浩子 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (50301817)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 電子マネー / IT個人利用補償制度 / 流通市場での虚偽記載責任 |
研究実績の概要 |
2018年度は3月から7月まで関西(代表者は関東)居住の父の末期介護に時間がかかり、体調も不全であったため、予算を一部残し次年度使用をお願いすることとなった。 論文の作成自体は順調で、(1)平成29年度F-7-1の5で述べた電子マネーに関する業者責任の問題を踏まえ、論文を3点(比較法的観点のもの(「シンガポールの電子決済利用者保護ガイドライン」)・判例評釈(「電子マネー不正使用金返還請求事件(東京高判平成29・1・18金法2069号74頁) 」)・立法論(「個人向け支払サービスにおける一般的補償制度」)を提言するもの)発表でき、うち立法論については決済高度化官民推進会議(平31.1.29)でご言及いただいているhttps://www.fsa.go.jp/singi/kessai_kanmin/gijiroku/20190129.html (2)また対企業訴訟という観点から、金商法21条の2に基づく訴えにつき実務家と共同して研究する機会があったほか、短い論文を1本発表することができ(「流通市場における開示書類提出者責任と株主間の不公平」)、第二東京弁護士会金融商品取引法研究会で発表する機会を得たhttp://niben.jp/blog/kinyusyouhintorihikihou/news/20192.html。係争中の重要事件も多いことから引き続き関わりたいと考えている。 IT知識習得のための受験勉強は1年延期することとした。 海外渡航についてはIT利用の状況をとくに上の論文の(1)との関連で視察するためシンガポールと台湾に渡航した。またドイツから来日した研究者と上の(2)の問題について討議し、今後の研究共同について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
たしかに様式S-1-8での研究計画・方法で述べた内容のうち、とくに業者の責任根拠に関連する研究に関する論文は出ていないが、電子マネーに関する補償制度という形で換骨奪胎した研究が進められているので、当初予定を満たす内容となっていると考える。 もっとも予算の次年度使用が生じており、また、IT実習のための試験の受験も遅れているので、健康に留意しつつこれらの遅れを取り戻したい。
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今後の研究の推進方策 |
(1)電子マネーにかかる無権限取引と補償というイシューについて、内容的にはすでに十分に研究・発信していると思う(あとは行政や国会が取り上げるかどうかの問題)が、具体化にあたり貢献できることがあれば関与したい。
(2)「民事責任の諸相」というテーマについては、金商法21条の2の解釈適用に絞って研究を進めたい(会社機関の責任や、監督機関の行政処分など、研究すべき内容が多く、しかも実務需要が高い)。
(3)上の(2)に関連してドイツの研究者との継続的な情報交換体制を考えている(自動車産業等で同種の問題が生じているため、比較の関心が高い)。 。
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次年度使用額が生じた理由 |
3 研究実績の概要で述べたように家族の末期看護で5カ月ほど研究遂行ができない状態にあったので科研費使用ができませんでしたが、残り2年の間に計画を進める所存なので次年度使用をお認めいただきたく存じます。 残額(239,468円)は31年度使用計画において書籍の購入費用にあてる予定です。
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