研究課題/領域番号 |
17K03448
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
青木 浩子 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (50301817)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 流通市場での虚偽記載責任 / 金商法21条の2 / 損害論 |
研究実績の概要 |
2020年度は、2018年度の家族介護・死去のため元々遅れていた2019年計画の遂行が、新型コロナウイルス感染症の影響のため以下のように遅れ、研究実績を出せていない。(1)金商法21条の2に関連する裁判例の分析を予定していたところ、注目している訴訟(主にT社とM社の件)の進行が5月ごろから遅れ、その後も実質的に1年ほど進行が遅れており、関連するその他の訴訟も進行が遅くなっている。(2)2020年度は大学講義は遠隔となり全体に仕事量が増えたわけではない(また何らかの病気に罹患したわけではない)が、自宅で研究に集中することが結果としてできなかった。(1)(2)ともに時間経過によりある程度の解消が見込まれるので、今回、科研の期間を1年延長していただけことを大変にありがたく思っている。
虚偽記載がなされる背景として、組織再編に伴う、あるいは(隠蔽を繰り返す)企業体質といった、共通性をもつ場合が目立ってきているように思うので、そのような場合に関する損害賠償の考え方を米国の事例等を参考にまとめられればと思っている。責任の考え方として、上のような場合、再建の便宜と既存株主保護という利害対立が生じるが、時代背景(2020年度に飲食業をはじめとする産業が後退する一方、遠隔講義やオンライン診療など従来導入が進まなかったサービスが一気に現実化したことは、考え方や行動に大きな影響を及ぼしていると思う)を解釈論に導入すべきか(たとえば、経営陣はもちろん、従業者や株主の利益を従来より後退させてでも企業の再編の便宜を図るか)についても意識したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
「研究実績の概要」に書いたように、一昨年(家族の介護、死亡)と昨年(コロナ禍)が連続し、形となるものができていない。
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今後の研究の推進方策 |
2021年夏前後にある程度の訴訟の進行が期待できること、また、ジャパンディスプレイなど新しい事件も出ていることから、虚偽記載と企業組織再編とが重なった例を中心にまとまった論文を終了までになんとか仕上げたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に新型コロナウイルス感染症による影響で、研究進行が遅れ、期間延長、繰越申請をしたため。
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