本研究は、契約の拘束力を基礎付ける要件としての「原因(コーズ、カウザ)」要件をめぐる近時の法状況について比較法的な分析を展開するものであり、特にイタリア法におけるカウザ論は日本では未だほとんど検討されていないテーマであり、本研究を通じてこの点に関する検討を実施したことには大きな学術的意義が認められる。また、そのような比較法的分析をも踏まえつつ、日本の民法・消費者法における方式・書面要件の意義や機能に関する分析を行ったことは、改正民法における書面要件のあり方を具体的に示した点で重要な社会的意義を担うものであると評価できる。
|