本研究は、経験科学の視点から、母法であるアメリカ法における判例の展開を追体験することにより、将来における規制の在り方を探るものである。このように進展するアメリカの判例法を分析することにより、①緊急差止命令の成立要件に係る現行法の解釈論を整理した上で、将来において発生する蓋然性が高い不正取引に対する緊急差止命令の発出も可能であること、②緊急差止命令の効果の側面で、現行法の制度では、不正取引に対する予防手段として不十分であり、隔離命令などの補充的手段を導入すべきこと、③法令を遵守した場合には、将来に発生する蓋然性が高い不正取引に対する緊急差止命令も取り消すことが可能であることを明らかにした。
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