研究課題/領域番号 |
17K03459
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
青竹 美佳 大阪大学, 大学院高等司法研究科, 教授 (50380142)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 相続法 / 遺留分 |
研究実績の概要 |
多様な家族に対応する相続法制度の在り方を追究することが本研究の目的である。当該年度は、2つの観点から研究を進めた。 第1に、2018年の相続法改正において、多様な家族に対応する相続法制度がどのように目指され、どの程度実現されたかという点を明らかにした。とりわけ、新たに導入された特別の寄与の制度(1050条)において、相続人ではない者が相続法上の財産的請求をすることにより自らの寄与が報いられるようにすることが企図された点に、多様な家族への対応という視点が見られるが、そこでは、事実婚や事実上の養子などを除外する方向で議論が進み、最終的には家族の多様性への対応にも、限界が設けられた。しかし、遺留分制度においては、物権的権利を権利者に保障する制度から、金銭債権のみを保障する制度へと大きな変動が生じ、ここには、事実婚や事実上の養子なども含めた広い意味での多様な家族にも相続法上の保障を拡げる基盤を作る意図が窺われる。このように2018年相続法改正を分析することで、多様な家族への相続法制度の対応は、不十分な点を残しつつ、根本的な点で進められているとみることが可能であるとの結論を示し、成果を論文として公表した。 第2に、同性カップルに対する相続法上の対応について、主にドイツ法との比較をもとに検討した。日本法では同性婚が認められず、同性カップルに対するパートナー法も存在しない。日本法では、同性カップルは、事実婚としての保護が広く認められるものの、相続法上の保護は難しいという状況、他方で、同性カップル間による養子縁組に寛容な立場が判例上示され、縁組により相続法上の保護は与えられ得るという状況を、同性婚を認め、パートナー法も存在するドイツ法と比較しながら分析を加え、国際シンポジウムで報告してその概要をドイツの法学雑誌にて公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外渡航の計画が中断するという状況がここ数年続いたが、当該年度は、ドイツに渡航することができ、国際シンポジウムに参加して成果を口頭発表し、内容をドイツ国内の雑誌にて公表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度が最終年度となるが、最終年度には、多様な家族への相続法制度の対応の問題について、遺産分割制度に重点を当てて検討を行うこととする。引き続き国内外でのシンポジウムや研究会に参加して研究者間での意見交換を行い、論文をまとめて国内外の雑誌に投稿する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
オンライン参加の研究会・学会が増えたため、旅費の執行額が少なくなった。次年度については、対面での研究会・学会が開催される見込みであり、執行を予定している。
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