まず、使用利益と“消費利益・譲渡利益(代償物)・営業利益”の関係を検討し、その関係を明確にした上で、その「使用利益」の意義を明らかにした。つぎに、“有体物 の無断使用”に関するドイツ判例及びドイツ不当利得法学説(差額説・類型論)を詳細に分析・検討し、“侵害者の返還義務の対象は何か”・“侵害者の「使用利益(使用料)」をいかに算定するか”という二つの点を明らかにした。最後に、ローマ法からドイツ法を経て現在に至る我が国の不当利得法学説を考察することにより、我が国の公平説にはどのような問題があり、類型論がいかに公平説を克服して台頭したかを解明した。これらの研究成果は、一部を除きすでに公表済みである。
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