最終年度では、民法典の体系のあり方について、検討をおこなった。具体的には、パンデクテン方式およびインスティトゥツィオーネン方式という伝統的な方式と、それぞれの方式を修正したり、統合したりする方向性について、その特徴等を明らかにするよう試みた。あわせて、法解釈方法論や物権法・相続法の改正に関する問題等についても、検討をおこなった。 補助事業期間全体をつうじた研究実績の概要は、次のとおりである。 第1に、民法典の編纂方針について、民法典の役割やその名宛人等との関係を踏まえながら、検討をおこなった。第2に、民法典における立法技術のあり方について、第1で検討した問題を意識しながら、規範の定め方に関する問題等を扱うとともに、民法典の体系のあり方について、パンデクテン方式の長所と短所、とりわけ総則をめぐる問題を扱った。第3に、再法典化については、特別法を民法典へと統合するべきかどうかという問題と、特別法を民法典へと統合するときに、どのような方式をとるべきであるかという問題とを検討した。 さらに、近年におこなわれた日本およびドイツの法改正に関する状況や、近い将来おこなわれるであろう日本の法改正に向けた動きを取り上げた。もっとも、法改正に関する状況等を扱うに際しては、まず、規定の内容等を明らかにしなければならなかったため、規定の形式等については、十分な検討をおこなうことができなかった。そのほか、体系論や法解釈方法論等、本研究課題と関連するテーマも扱った。
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