研究課題/領域番号 |
17K03477
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
芦野 訓和 東洋大学, 法学部, 教授 (40298039)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 請負契約 / 瑕疵 / 建築請負 / 契約適合性 / 複合契約 / 製作請負 / 日独比較 |
研究実績の概要 |
本年度は必要な資料の収集及び我が国並びにドイツにおける実態を調査するとともに、国内外の研究者との意見交換に主眼にし研究を行った。具体的には、(1)我が国及びドイツの資料の収集、(2)ヒアリングを中心とした実態調査、(3)資料及び実態調査から明らかになる問題点の確定、(4)我が国特有の問題点の発見という作業である。 1.資料収集 資料収集について本年度も、本研究に関する書籍・資料について、所属する研究期間所蔵のデータベース及びインターネットを利用し調査を行い、随時購入し分析を行った。 2.調査について 我が国の実態調査については、関連する法律問題に詳しい弁護士と意見交換を行った。また、国内の複数の研究者とも意見交換を行った。ドイツについては、3月にドイツ・フランクフルトで開催された建築瑕疵に関する講演会に参加し、そこで複数の研究者・実務家との間で意見交換を行った。また、マールブルク大学ヴォルフガング・フォイト教授との間で、建築目的物の瑕疵に関して日独比較の観点から意見交換を行った。フォイト教授のもとには日独の建築私法について研究している院生がおり、その院生とも意見交換を行った。これらの意見交換をもとにドイツの大学図書館で資料収集・分析を行った。 3.講演会の開催 ドイツ・ライプチッヒ大学ミヒャエル・ツバンツガー教授を東洋大学に招き、複数関与者の契約と瑕疵に関するスタッフセミナーを開催した。 4.日私法学会シンポジウムでの報告 研究成果の一部は、複数の研究者・実務家とで結成した研究会においても報告し、その内容は東北大学で開催された第82回日本私法学会シンポジウムで報告した。 5.中間的なまとめ これらの作業を通じて問題点の抽出を行い、上記2,3での意見交換のほか、国内の研究者が参加する研究会などでも中間的な報告を行い、議論を通じて問題点に対する認識を深めていった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献収集及び分析については、当初の計画通り行うことができた。 国内のヒアリングについては、本年度も、対象先の都合などからヒアリングに対応可能な企業を絞り込むことができなかった。この点については、本年度の研究から明らかになったことなどを相手先企業にも伝えることにより、今後より深い議論ができると考える。 ドイツでのヒアリング調査については、当初予定していたよりも多くの成果を得ることができた。ドイツでも2017年に本研究に関連する民法の規定が改正されたが、その後の状況についてドイツ建築私法の第一人者であるマールブルク大学ヴォルフガング・フォイト教授およびドイツ実務家と意見交換を行うことができたことは大きな成果だった。さらには、学内外の研究者とも意見交換を行うことができたことにより、問題点の抽出作業差より進むことになった。 また、ミヒャエル・ツバンツガー教授のスタッフセミナーについては、学内外の研究者も参加し、活発な意見交換を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進にあたっては、これまでの研究から明らかになった問題点をさらに深く掘り下げると共に、国内外の研究者ともさらに意見交換を行うことによって、議論を深めていきたい。ドイツで行うスタッフセミナーについては、現在メール交換を行いながら、開催時期を検討しているが、7月までに決定し、十分な準備をした上で、現地に赴き、積極的な意見交換ができるようにしたい。
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