研究課題/領域番号 |
17K03483
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
秋山 靖浩 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (10298094)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 定期借地権 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度の研究において、定期借地権の存続期間満了時における原状回復(借地上建物の収去と土地の更地化による土地の返還)をめぐる法的紛争に対処するために、借地権者が一定の要件の下で土地所有者からその土地を買い取ることができる旨の当事者間の特約が一定の役割を果たしうることが明らかになったことを受けて、そのような特約が現実にどの程度使われているかについて、定期借地権を実際に運用している団体・企業等に聴き取り調査をすることを計画していた。しかし、新型コロナ感染症拡大の影響により、以上の計画は2021年度に行うこととした。 そこで、本年度は、存続期間が満了すると契約が当然に終了する(更新がない)点で定期借地権と同様の性質を有する、定期建物賃貸借(借地借家法38条)の存続期間満了時における法的問題を検討した。存続期間が1年以上の定期建物賃貸借では、期間満了の1年前から6か月前までの間に賃貸人が期間満了により賃貸借が終了する旨を賃借人に通知する必要があり、これをしないと賃貸借の終了を賃借人に対抗できないとされている(同条4項)この規定をめぐっては、通知をいつまでにするべきか(存続期間満了後でも通知をすれば賃貸借を終了させることができるか)、また、通知をしないまま存続期間が満了した後も賃借人が建物の使用を継続している場合に、当事者間の法律関係はどうなるか、などが議論されている。ここでは、存続期間が満了すれば契約が当然に終了する(更新がない)という定期建物賃貸借の特質を踏まえて、存続期間満了時における賃貸人・賃借人間の微妙な利益調整が問題になっていると見ることができる。このような利益調整のあり方とそれをめぐる議論は、定期借地権の存続期間満了時における法的問題を考察するにあたっても、一定の手がかりになるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、「研究実績の概要」に記したように、借地権者が一定の要件の下で土地所有者からその土地を買い取ることができる旨の当事者間の特約について、定期借地権を実際に運用している団体・企業等に聴き取り調査をすることを計画していた。しかし、新型コロナ感染超拡大の影響により、この計画を実行することができず、これに代わって、定期建物賃貸借における法的問題について検討を加えた。 以上より、現在までの進捗状況を上記のように評価した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの研究により、定期借地権の存続期間満了時における原状回復(借地上建物の収去と土地の更地化による土地の返還)をめぐる法的紛争に対処するために、借地権者が一定の要件の下で土地所有者からその土地を買い取ることができる旨の当事者間の特約が一定の役割を果たしうることが明らかになった。そこで、本年度は、そのような特約が現実にどの程度使われているかについて、定期借地権を実際に運用している団体・企業等に聴き取り調査をすることを計画していたが、新型コロナ感染症拡大の影響により、その計画を実現することができなかった。 そこで、次年度は、感染防止に十分に配慮しつつ、以上の計画を実現することに重点を置く。具体的には、調査先の団体・企業等に対し、事前に可能な範囲で書面等による聴き取りを行うこととし、団体・企業等を訪問して聴き取りを行う時間は最小限に抑えることにしたい。また、調査先の許しが得られた場合には、団体・企業等を訪問せずに、オンライン(Zoom等のアプリ)を活用して聴き取り調査を行うことも検討する。 なお、以上の聴き取り調査については、定期借地権を実際に運用している団体、および、定期借地権に精通した実務家の協力を得られる見込みである。今後、調査の具体的な方法(団体等を訪問するか、オンラインによるかなど)を詰めていくことにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、定期借地権を実際に運用している団体・企業等に聴き取り調査をすることを計画していた。。しかし、新型コロナ感染症拡大の影響により、この計画を実行することができなかった。また、ドイツにおける現地調査を行う可能性もあったが、これも実行することができなかった。これらの理由により、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、主に、上記の聴き取り調査に支出する予定である。他方で、2019年度の実施状況報告書にも記載した通り、ドイツ法を調査しても本研究課題への有益な示唆は得られそうもなく、また、新型コロナ感染症拡大の影響により、ドイツにおける現地調査を実施できる見込みもないことから、ドイツにおける現地調査の費用(旅費等)には支出しない予定である。
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