• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

多元化する不法行為責任規範の損害論の研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K03494
研究機関龍谷大学

研究代表者

若林 三奈  龍谷大学, 法学部, 教授 (00309048)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード原子力損害 / 営業損害 / 風評損害 / ふるさと喪失損害 / 水俣病 / 公健法 / 障害補償費 / 包括請求方式
研究実績の概要

本研究課題の研究計画に基づき、順次、成果を得ている。
第1に、無過失責任立法の一つである原子力損害の賠償に関する法律(いわゆる原賠法)について、その特質を明らかにするとともに、敦賀原発事故・JCO東海村臨界事故・福島第一原発事故において展開・構築されてきた損害論について検討を行った。営業損害の賠償範囲(風評損害を含む)の他、福島第一原発事故によって新たな問題となっている避難損害(財産的損害、精神的損害、ふるさと喪失損害等)について、これまでの裁判例を整理、分析するとともに、従前の学説・実務からの指摘をふまえ、批判的検討を行い、その成果の一部を順次公表している。現在、各地で提起されている集団訴訟については、2019年に判決が出た、かながわ訴訟・千葉第2陣・愛媛等について、従前の同集団訴訟における判決群との比較検討を行った。とりわけ、かながわ訴訟は、原賠審による中間指針とは異なる新たな損害論を展開している。本判決の分析を中心に、今後の課題を整理した論考を判例時報にて公表した。併せて、一連の訴訟で原告らが主張する、ふるさと喪失損害の意義について、とくに、これに対する賠償消極論への批判的検討も踏まえた検討を行い、近く公表を予定している。
第2に、水俣病訴訟における損害賠償給付と公健法障害補償費との関係について、平成29年最高裁判決の意義と射程について、旧来の研究を再検証し、検討した結果を公表した。当該研究の結論を手掛かりとして、引き続き、包括請求方式における損害賠償給付と併行給付との調整について検討を進めている。
第3に、取引的不法行為をめぐる損害論についても、引き続き検討を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画に沿った成果を得ている一方、年度の終盤にて、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、予定していた国内出張(海外研究者による講演や共同研究)および海外出張を断念せざるを得なくなり、予算執行の一部に支障が生じたため。

今後の研究の推進方策

次年度に繰り越した予算については、引き続き本研究課題の発展のために用いる。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス感染拡大の影響により、国内出張(海外研究者の招聘中止)および海外出張(渡航先の研究所での受け入れ停止)の予定を中止・延期したため。次年度に出張予定を延期する方向で検討しているが、今後の国内外の情勢によっては、旅費に代えて、物品費(図書資料等)に用いる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 水俣病補償-不法行為損害賠償給付と公健法障害補償費との関係2020

    • 著者名/発表者名
      若林三奈
    • 雑誌名

      環境法研究

      巻: 10 ページ: 1-10

  • [雑誌論文] 東京電力福島第一原発事故訴訟の動向①かながわ・千葉・愛媛3判決の損害論2019

    • 著者名/発表者名
      若林三奈
    • 雑誌名

      判例時報

      巻: 2423 ページ: 117-121

  • [雑誌論文] 違法な投資勧誘を行っていた事業者に事務所を使用させた行為の幇助該当性2019

    • 著者名/発表者名
      若林三奈
    • 雑誌名

      現代消費者法

      巻: 45 ページ: 79-86

  • [図書] 論点体系・判例民法・不法行為Ⅰ2019

    • 著者名/発表者名
      能見善久=加藤新太郎編/執筆者7名
    • 総ページ数
      536
    • 出版者
      第一法規
    • ISBN
      9784474059498

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi