研究実績の概要 |
22年12月26日、公益財団法人日本証券経済研究所(大阪研究所)証券経済研究会において、「Universal Proxy system」と題する研究発表を行った。更に、2023年3月13、公益財団法人日本証券経済研究所(東京研究所)において、「米国のUniversal proxyの導入」と題する研究発表を行った。これらの研究会における議論を経て、2023年4月、大阪研究所の発行する証研レポート、第1737号(40-54頁)において、「米国のUniversal Proxy(ユニバーサル・プロキシー)の導入」と題する研究レポートを発表した。 『リーン・スタートアップ』の著者エリック・リースは,LTSE(Long term stock exchange)の開設をSECに申請し,取引所は2019年9月より営業を開始した。同氏は当初,LTSEに上場する企業に対し,保有年数に比例して増加する議決権の制度の採用を要件としていた。この制度は,tenure voting, loyalty share,time-phased voting等と呼ばれている。また、フランスのフロランジュ法によって採用されている2倍議決権もこのtenure votingである。米国において、AmazonやメタなどのIT企業に採用されている10倍議決権株式は、創業者等に付与される場合が多いが、tenure votingは株主が誰であれ、定められた期間以上保有すれば誰にでも付与されるものであるため、短期主義に対抗できるものであると注目された。 2021年8月にはLTSEにはテック企業のAsanaおよびTwilioが初めて上場したが、当初求めていたtenure votingは実施していない。そのため、本年度は昨年に引き続き研究対象をやや広げて調査・研究を行った。
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