研究課題/領域番号 |
17K03504
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
船越 資晶 京都大学, 法学研究科, 教授 (70362548)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 批判法学 / ジェンダー法学 |
研究実績の概要 |
本年度は、以下の研究を実施した。 第一に、ジェンダー法学理論の変容に向けた基礎的作業として、フランシス・オルセンの法的思考批判に提示されている枠組を活用して、フェミニズム/ジェンダー法学の諸理論のサーベイおよびマッピングを進めた。 第二に、ジェンダー法学実践の変容に向けた基礎的作業として、オルセンの公私二元論批判を手がかりとして、ジェンダー関連領域において使用されてきている法的言説(定型的な政策的議論)の収集・分析・整理を進めた。この作業には、本研究が現代的な法的思考スタイルとして念頭においている政策分析を、ジェンダー関連領域において実際に活用する際に必要となる素材を確保するという意義がある。 第三に、本研究全体の理論的基盤の整備に関して、法批判の原点とも言えるマルクスのテクストおよびその批判法学による解釈を確認し、その成果を論文「批判法学のマルクス」として公表した。その概要は以下のとおり。批判法学とりわけダンカン・ケネディは、マルクスの商品物神論を虚偽必然性批判論として解釈し、その有用性に積極的な評価を与えているが、マルクスの法理解に対しては、リアリズム法学の洗礼を経ていない(古典的なものにとどまる)という理由で消極的な評価しか与えていない。このようなケネディのマルクス解釈は、テクスト解釈に対する法律家的態度と批判技法として内在的批判を重視する姿勢とによって、言葉の真の意味で批判法学的なものになっていると言える。以上の研究成果は、フェミニズム/ジェンダー法学のテクストを解釈・活用する際の指針になるものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である、ジェンダー法学理論の変容とジェンダー法学実践の変容を通じたジェンダー法学の実用化に向けて、本年度は以下の成果を挙げることができた。 第一に、フェミニズム/ジェンダー法学の諸理論のサーベイおよびマッピングを進めることにより、本研究の一般性を高めることができた。 第二に、ジェンダー関連領域における法的言説の収集・分析・整理を進めることにより、本研究の具体性を高めることができた。 第三に、法批判の原点とも言えるマルクスのテクストおよびその批判法学による解釈を確認することにより、本研究全体の理論的基盤を整備することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的である、ジェンダー法学理論の変容とジェンダー法学実践の変容を通じたジェンダー法学の実用化に向けて、本年度は、基礎的作業を実施するとともに研究全体の理論的基盤に関する研究成果を公表することができたので、次年度以降は、ジェンダー法学の理論と実践それぞれの具体的内容について順次研究成果を公表することを目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、デスクトップパソコンを更新する予定であったが、所属研究機関より当該目的のための資金の配分を受け、その使用を優先せざるを得なかったため、次年度使用額が発生した。当該助成金については、更新の時期を迎えるプリンターの購入に充てたいと考えている。翌年度分の助成金については、デスクトップパソコンの購入に代えてノートパソコンの更新を行うほかは、当初の計画どおりに使用していきたい。
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