研究課題/領域番号 |
17K03523
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
尾野 嘉邦 東北大学, 法学研究科, 教授 (70598664)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 政治学 / 選挙 / 投票行動 / ジェンダー |
研究実績の概要 |
政治における女性の過少代表の問題についてアプローチするために、まずは衆議院議員選挙への立候補者を対象とするサーベイデータの分析作業を行い、男女の政治家の間で重視する政策争点や争点態度がどのように異なっているのかについて検証した。その結果、政治家の属性や選挙区の特性などをコントロールしてもなお、候補者の間で重視する政策争点や争点態度に男女差が見られることが明らかになった。その分析結果については、論文としてまとめ、次年度に学会などで発表する予定である。それと並行して、アメリカの有権者(18歳以上)を対象にコンジョイント実験やリスト実験などを盛り込んだ複数のサーベイ実験を実施して、女性候補者や女性裁判官に対して、有権者がどの程度のバイアスを抱いているのかについて分析を行った。その結果については、複数の学術論文としてまとめるとともに、次年度に開催されるアメリカ政治学会などにおいて研究発表する予定である。それらの分析結果を踏まえて、海外の研究協力者らとともに、次年度に行うサーベイ実験の準備作業を行った。また、アメリカと日本においてすでに実施されたサーベイ実験のデータを分析し、投票行動におけるジェンダーバイアスの影響について検証した研究成果を、イェール大学やアメリカ政治学会、中西部政治学会、政治学方法論学会、東北法学会などで発表した。それらの研究成果の一部は、Journal of Politicsなどの査読付学術雑誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
候補者が重視する政策争点や争点態度などについてのサーベイデータの分析作業が早期に終了するとともに、サーベイ実験が当初の予想以上に順調に進んだ。それに伴い、追加の実験を行うこととし、当初の予算を一部前倒し執行した。また、海外の研究者の協力を得ることで、データの分析結果を論文化する作業も想定以上に速く進展した。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、これまでに収集した実験データの分析結果に基づいて論文を執筆し、海外の学会でそれを発表するとともに、学術雑誌に投稿する予定である。また、昨年度に実施した実験で足りなかった点を補うために、リスト実験などをいくつか追加で実施する予定である。さらに、アメリカでの実験結果を踏まえて、日本でも同様のサーベイ実験を実施する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
サーベイ実験を追加で実施するために、前年度に予算を前倒し請求したが、サーベイの内容の一部を縮小したため、幸い予算の範囲内に収まった。これまでに実施したサーベイ実験の結果を踏まえて、今後、さらに実験を実施する予定であり、予算をそれに費やす計画である。
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