研究課題/領域番号 |
17K03529
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
小谷 英生 群馬大学, 教育学部, 准教授 (80709147)
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研究分担者 |
淵田 仁 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特任講師 (00770554)
野原 慎司 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 准教授 (30725685)
安藤 裕介 立教大学, 法学部, 准教授 (50771888)
佐藤 空 東洋大学, 経済学部, 講師 (60749307)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 歴史叙述 / 啓蒙 / 18世紀ヨーロッパ / 18世紀アメリカ / 思想史 / ナショナリズム / グローバル市場 |
研究実績の概要 |
今年度は初年度からの継続で歴史叙述とその研究手法をめぐる方法論の分析を進めるとともに、個別の思想家の具体的な議論を明らかにした。 (1.研究会の開催)定例の研究会を2018年5月13日、6月30日、9月10-11日、2019年3月4日に行った。 (2.研究報告) 研究報告として学会セッションと公開シンポジウムを企画した。①日本哲学会(2018年5月20日、神戸大学)公募ワークショップ「政治哲学における〈啓蒙〉の位置づけをめぐってーー自然法学・人文主義・歴史叙述」(司会・コーディネーター:上野大樹氏)において、飯田賢穂氏・網谷壮介氏とともに「ゴットフリード・アッヘンヴァルの自然法論とStatistik――自然法論と歴史叙述の関係をめぐって――」というタイトルで自然法論と歴史叙述の関係について報告を行った。②社会思想史学会(2018年10月28日、東京外国語大学)にてセッション「ヨーロッパ啓蒙期の歴史叙述ーーTranslationと他者表象の問題」を開催し、安藤裕介氏・稲垣健太郎氏を報告者、安武真隆氏を討論者として成果報告を行った。どちらも午前中のセッションだったものの、20名以上の参加者が集まり盛況であった。③シンポジウム「啓蒙期ブリテンの歴史叙述をどう読むか」(2018年12月8日、立教大学)を企画し、上村剛氏に個人報告を行っていただいたのち、網谷壮介氏に司会を、犬塚元氏・佐藤空氏・野原慎司氏に報告を行っていただいた。参加者は30名を超え盛況であった。 (3.論文)「道徳と〈幸福であるに値すること〉」(『現代カント研究』第14巻、2018年7月、pp.86-109)として、研究成果の一部を論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度の作業目標は個別具体的なテキスト・事例の研究を進めるとともに、本研究チームの研究成果を国内外に積極的に発信していくことにあった。この目的を遂行するために、前記(1)では研究プロジェクトチームのメンバー・ゲストによる研究発表の他、網谷壮介『共和制の理念: イマヌエル・カントと一八世紀末プロイセンの「理論と実践」論争』の合評会を行うことによって啓蒙概念の下で推進された諸々のプロジェクトについて認識を深めることができた。また、前記(2)の小谷報告では18世紀において著名であったが現在では忘却されたに等しい思想家ゴットフリート・アッヘンヴァルのテキストが分析され、後進ドイツにおけるポリティカル・エコノミーの萌芽的思想を発見するに至った。 また、本年度は(2)の③のように公開シンポジウムを企画することで研究実績を積極的に公開するとともに、定例研究会でも英語発表・討論を行うなど、研究成果を国際的に発信していくための準備を行ってきた。研究分担者の野原慎司氏の『Commerce and Strangers in Adam Smith』を始め、研究成果の一部を欧文で公表することもできた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に当たる2019年度には、年4回以上の定例研究会開催、社会思想史学会でのセッション報告を継続的に行うとともに、研究チームとして次のように研究成果をまとめ、公開していく。 (国際発表) ①Bradford Bow氏、Chen Chien-Kang氏、上野大樹氏、佐藤空氏らとともにアジアの18世紀啓蒙研究者のネットワーク(the East Asian Intellectual History Network)を立ち上げ、アジア圏を中心として研究の相互交流を行う。各国の大学で連続コロキウムを行う予定であり、2018年4月に韓国延世大学、9月に日本(場所未定)で国際学術会議を開催する。②2019年7月14-19日に開催される国際18世紀学会(ISECS、エディンバラ大学)にて3つのセッションを行う(The Enlightenment Politics of Time and History 1-3)。 (論文)学術誌・大学紀要への論文寄稿を行うとともに、研究全体のまとめとして論文集刊行の準備を進める(2020年度予定)。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定では海外から研究者を招聘する予定であったが都合が合わず、次年度の国際18世紀学会への参加および国際シンポジウムの開催に充てるため。
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