研究課題
本年度は、金融危機後の経済停滞下における主要5カ国(日本・アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス)の政府・中央銀行(独仏はECB)の経済政策の内容、およびその政策過程について、事実関係を正確に把握するための作業に取り組んだ。具体的には、各国の政府および中央銀行の世界金融危機発生までの経済政策、危機発生時の危機対応、そして危機後の経済政策について、ジャーナリストの文献や新聞記事・雑誌資料、さらに政治学者・経済学者による理論的な研究まで、幅広く収集・整理し、それを読み込む作業を進めていった。また政府・中央銀行の政策対応について、理論的な分析を行う準備として、近年の政治経済学の研究動向を把握する作業を行った。具体的には、重要文献の収集・整理を行い、それを読み込む作業を進めていった。本年度はさらに、政府の危機対応という観点から、戦後日本の電力・エネルギー政策、とりわけ原子力政策についての研究を行った。具体的には、原発事故への政府の危機対応や、世論の強い反対を受けるようになった原発への政府の対応を研究した。これは本研究と直接関係するわけではないのだが、政府の金融危機対応、政府債務危機対応(世論の強い反対を受ける金融機関の救済や財政緊縮政策)といった政府の政策対応を検討するうえで、大いに参照されるべき事例と考えたため、本研究と並行して研究を進めることにした。この研究については、単著の出版、英語の論文集への寄稿を行うことで、一定の成果を挙げた。
2: おおむね順調に進展している
本年度は経済停滞の研究として、事実関係の正確な把握に時間を費やし、一定の理解を得ることができた。また、危機時における政府対応の比較研究という観点から、電力・エネルギー政策の研究も並行して行い、単著の出版、論文集への寄稿といった成果を挙げた。
今後もまずは引き続き、事実関係を正確に把握するための、文献の収集・整理、精読という作業と、理論的な検討を行うための、専門文献の収集・整理、精読という作業を並行して進めていく。
本年度は海外出張を予定していたものの、単著の出版を今年度中に行う必要が生じたため、執筆を急ぐことになり、海外出張を中止した。また資料の収集・整理のために学生をアルバイト雇用することを予定していたものの、アルバイトを行ってくれる学生を見つけることができなかったため、アルバイト雇用を行わなかった。次年度使用額については、本年度予定していた海外出張とアルバイト雇用を行うことで、消費する予定である。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (3件)
『阪大法学』
巻: 67(5) ページ: 17-45
巻: 67(6) ページ: 63-92