研究課題/領域番号 |
17K03538
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
上川 龍之進 大阪大学, 法学研究科, 教授 (40346656)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 金融危機 / 経済停滞 / バブル / デフレ / 財政赤字 / 政府債務危機 / 中央銀行 / 財政金融政策 |
研究実績の概要 |
本年度も昨年度に引き続き、金融危機後の経済停滞下における主要5カ国(日本・アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス)の政府・中央銀行(独仏はECB)の経済政策の内容、およびその政策過程について、事実関係を正確に把握するための作業に取り組んだ。 具体的には、各国の政府および中央銀行の世界金融危機発生までの経済政策、危機発生時の危機対応、そして危機後の経済政策について、ジャーナリストの文献や新聞記事・雑誌資料、さらに政治学者・経済学者による理論的な研究まで、幅広く収集・整理し、それを読み込む作業を進めていった。 また政府・中央銀行の政策対応について、理論的な分析を行う準備として、近年の政治経済学の研究動向を把握する作業を行った。具体的には、重要文献の収集・整理を行い、それを読み込む作業を進めていった。 本年度の特筆すべき成果としては、本研究に大きく関連する先進国、とりわけ日本の財政赤字について、政治経済学の観点から分析を進めたことである。具体的には、日本の財政の特色を明らかにした先行研究を整理し、くわえて日本で行われてきた財政再建の試みおよびその特色について、整理を行い、財政危機に陥る可能性が低い日本において、財政再建の動きが定期的に生じるのはなぜか、しかし、その成果が十分にあがることなく、財政再建の努力が放棄されるのはなぜか、という問いに対する答えを提示した。その成果は、学会報告および学術論文の形で、来年度に公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は学部の教務委員長を担当することになり、管理運営業務に多くの時間とエネルギーを割かれた。また、全学でのカリキュラム改革および法学部で設置予定の法曹コースに関する制度設計も担当することになり、研究する時間がほとんどなくなってしまった。来年度も引き続き教務委員長を担当することになるのだが、本年度の研究の遅れを取り戻すべく、尽力したい。
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今後の研究の推進方策 |
来年度も引き続き、事実関係を正確に把握するための、文献の収集・整理、精読という作業を行う。さらに研究をまとめることを意識して、理論的な検討を行うための、専門文献の収集・整理、精読という作業も進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は海外出張を予定していたものの、管理運営の業務で多忙のため、海外出張を中止した。来年度は、本年度に使用を予定していた資金を用いて、本年度に予定していた海外出張を行う予定である。
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