研究課題
最終年度は第5回環大西洋保守主義研究会を令和元年8月9日に開催し、Richard John Neuhausの論文、A New Order of Religious Freedomを参加者全員で講読するとともに、研究協力者の池田直樹(神戸大学国際文化学研究科博士後期課程)が「1980年代におけるピーター・L・バーガーの位置――M・ノヴァクとの関係を手がかりに」を報告し、研究代表者の井上弘貴が「アメリカが内向きのナショナリズムを選ぶとき――出生地主義に基づく市民権と移民制度改革をめぐるアメリカ保守主義の変容」を報告した。池田報告をつうじて参加者は、バーガーがネオコン第一世代と問題関心を共有しつつも、かれらとは異なる立場を最終的には保持していたことを確認することができた。井上報告は、ナショナル・コンサーヴァティズムの現状を概観するとともに、出生地主義に基づく市民権に批判的な立場をとるトランプ大統領と、マイケル・アントンに代表される西海岸シュトラウス学派の思想的な共通点を明らかにするものだった。当初の予定では、令和2年3月8日に神戸大学梅田インテリジェントラボラトリにて、本科研の総括としての第6回環大西洋保守主義研究会を開催する予定であったが、新型コロナウィルスによる情勢に鑑み、やむを得ず中止となった。この研究会では、研究代表者による総括報告と併せて、パトリック・J・デニーン著、角敦子訳『リベラリズムはなぜ失敗したのか』(原書房、2019年)の検討をつうじて、カトリック・コミュニタリアンと称されるデニーンの主張を検討することで、ポスト・リベラルと呼ばれる新しい保守の台頭について検討する予定であった。代替手段として、プロジェクト参加者間で文章を回覧することで、上記の内容にかんする意見交換をおこない、本科研の総括をおこなった。
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ソシオロジ
巻: 64 ページ: 21-38
国際文化学研究
巻: 52 ページ: 1-34
アメリカ研究
巻: 53 ページ: 35-57
年報政治学
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