本研究では、明治期の著名なジャーナリスト・福地源一郎の思想を、特に保守主義という観点を重視しつつ、分析・考察したい。その際第一に、E・バーク等の西洋由来の概念を当てはめるのではなく、あくまで明治期の歴史的コンテクストに立ち戻って「保守」概念を問い直す。 そして第二に、単なる語彙研究としてではなく、政党や知識人共同体や地方団体といった「保守」を支えるネットワークの実態と相互作用についても視野に入れて分析を進める。 さらに第三に、歴史的対象としての明治期の「保守」思想が、翻って同時代の規範的な政治理論(熟議民主主義論等)として持ちうる意味について考察を深める。
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