研究課題/領域番号 |
17K03553
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研究機関 | 札幌大学 |
研究代表者 |
宇野 二朗 札幌大学, 地域共創学群, 教授 (90438341)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地方公営企業 / 水道事業 |
研究実績の概要 |
2017年度は、(1)日本の事例について収集した「事業年報」等の資料の検討、(2)ドイツの事例について「営業報告書」の収集と改革内容に関する事実関係の整理、(3)2018年度に取り組む意識調査等の準備作業にあたった。 第1の点に関しては、水道事業の「運営論理」の理念型とその定性的指標を設定した上で、各指標とその変化の背景に関する事実関係を調査し、記述した。また各運営論理のあり方に影響を及ぼす制度要因として公営企業の自律性を挙げ、各事例における自律性の型を、首長・議会間の関係と公営企業管理者のプロフィールに注目して記述した。両者の関係について韓国行政学会にて報告し、また2017年10月に行った海外共同研究者との会合でも検討した。 第2のドイツの事例に関する資料収集と事実関係の整理については、主にベルリン市の事例に関して進めた。1990年から2015年までの営業報告書の収集を終え、その検討に入っている。その過程で2018年10月にベルリンの公務労働組合を訪問し、1990年代末以降の改革の経緯及びそれに対する評価について聞き取り調査を実施した。また改革内容・過程に関する2次文献の検討も併せて行った。これらの成果の一部は日本地方自治学会の研究大会で報告し、また『地方自治職員研修』や『都市問題』に論稿を掲載できた。また2018年1月にハンブルク市の水道会社で聞き取り調査を行った。 第3の意識調査等の準備作業としてポツダム大学との研究協力関係を構築した。2017年10月、及び2018年1月に協力を依頼する項目及びスケジュールを確認した。 このほか、各事例の背景にある日独の水道事業改革の全体像を理解するため、全国的な改革動向や現状の把握に取り組み、いくつかの研究報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では2017年度中に日独4事例の改革内容・過程を整理し、検討することとしていたところ、日本の2事例については事例の記述・分析をほぼ終え、ドイツについてもベルリンの事例についての資料収集・検討は進めることができた。もっともハンブルクの事例については2次文献の収集及び聴き取り調査は行えたが、その内容の整理・検討、さらに営業報告書の収集・検討は行えず、2018年度に行うこととした。その代わり2018年度に実施予定である意識調査等に関する研究協力関係の構築をほぼ終えることできた。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度以降は、まず、(1)日本の事例に関して必要となる追加資料の収集・検討、(2)ハンブルクの事例を中心としたドイツの事例に関する資料収集と検討を行い、各事例の記述に取り組む。次に、(3)日独の関係者(水道事業の職員、及び地方政治家)に対する意識調査を設計・実施する。この意識調査の設計・実施に関して海外共同研究者と打合せを行う。さらに可能な限り、(4)2019年度に実施する日独比較研究の枠組みについて検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品が新たに購入する必要がなく、また英文校正費も不要であったために次年度使用額が生じた。2018年度には、意識調査の実施に係る委託料・謝金等、海外共同研究者との打合せのための出張旅費、英文校正費等として使用する計画である。
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