研究課題/領域番号 |
17K03553
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
宇野 二朗 横浜市立大学, 国際教養学部(都市学系), 教授 (90438341)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 地方公営企業 / 水道事業経営 |
研究実績の概要 |
2019年度は,2018年度に続き,(1)日本の9つの大都市水道事業の経営層及び管理職に対する意識調査結果の整理と分析,(2)日本の大都市水道事業の政策発展の評価に関する論文の執筆,(3)ドイツの2つの大都市水道事業の「営業報告書」のデータの整理,(4)ドイツの水道事業体の経営層及び管理職,並びに州議会議員に対する意識調査の設計,実施準備を行った。 第1の点については,データの整理と各都市別の分析がおわり,それを統合した総合的な分析を2020年度に行うこととした。 第2の点については,2つの大都市の水道事業を題材とした論文を書き上げた。2つの大都市が,料金水準と施設水準の面で対照な政策理念を持つことをそれぞれの政策展開を追うことで明らかにし,その上で,それらと組織の自律性との関係について考察した。この研究について研究報告を1度行い,数名の研究者から助言コメントをもらうことができた。 第3の点については,「営業報告書」から特に財務諸表,投資額,監査役会及び取締役の名前・役職,職員数,等に関してのデータを収集・入力した(昨年度に欠けていた年度分)。 第4の点については,二つの都市で調査を実施し,単純集計を中心に結果をまとめた。この点に関してドイツの研究者と意見交換をした。 このほか,本研究に関連して,ドイツと日本の水道事業の法的枠組みを整理し,日本については論文1件公表し,ドイツについては研究会で1回発表した。地方公営企業としての自律性の点で両者は異なる点,また,財政的な面では料金設定に関する理念や制度設計が異なる点が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ドイツでのサーヴェイの実施に関して協力を得ることが難しく,データの収集に時間がかかり,また,データが少ないことに関して次善の策を検討するのに時間を要している。また,3月に実施する予定であった,ドイツの研究者との研究成果に関する意見交換が渡航制限により延期になっている。
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今後の研究の推進方策 |
ドイツの事例に関するサーヴェイは,回答者側の協力を得ることが難しく,量的研究を行うには不十分なものにしかならなかった。そのため事例研究を中心とするように変更した。2020年度は,これまで収集した資料,および不十分なものであるがサーヴェイ結果を参照しながら事例比較に取り組む。 また,日本の2都市に関する研究論文に関して得られた助言コメント等を踏まえて,論文を修正し,完成させる。 これらの結果を踏まえてドイツの研究者と意見交換の場を設ける予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月にドイツの研究者を日本に招聘し,研究成果についてワークショップを行う予定であったが,それが延期になったため,残額が生じた。 2020年度には,すでに収集した資料を分類・整理するために研究補助者を雇用し,また,2020年度に延期となっていたワークショップを実現するために残額を使用する予定である。
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