令和元年度の研究実績として、地方議会改革の進め方の違いにより、成果が異なることを示すとりまとめを行った。地方議会改革の進め方は、「議会運営委員会」、「特別委員会」、「調査会・検討会」、「常設の議会推進組織」に区別される。「議会運営委員会」により改革を進める場合、「住民参加」、「透明性」、「討議機能」が高まるといえる。これは「議会運営委員会」が議事運営を担っており、これらの改革を進めやすいためである。 「特別委員会」の組織形態を採用すれば、立法機能は高まるが、透明性は高まらないといえる。それ以外の機能については半分程度、向上するといえる。「調査会・検討会」の組織形態を採用すれば、立法機能は高まらないが、それ以外の機能は半分程度、向上するといえる。 常設の推進組織を採用すれば、「住民参加」、「定数報酬」、「討議機能」が強化され、透明性は半分程度高まるといえる。定数及び報酬の見直しについては、「常設の議会改革推進組織」による改革が最も成果を挙げていた。「常設の議会改革推進組織」は、議会基本条例の規定によって設置される組織である。 検証結果より、それぞれの組織形態の違いによって、生じる成果に違いがあることが分かった。さらに、全体の成果を見れば、「特別委員会」や「調査会・検討会」よりも、「議会運営委員会」、「常設の議会改革推進組織」の方が改革の成果が表れている。前者は、組織が常設ではなく改革を検討、実施する際に臨時に作られる組織であるといえる。一方、後者の「議会運営委員会」や「常設の議会改革推進組織」の場合、常に議会内で設置されている組織であり、継続して議会改革について検討、実施されていると考えられる。
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