本研究では台湾の選挙管理機関の特徴とその民主化との関係について考察した。選挙管理機関は一般に独立モデル、混合モデル、政府モデルの3つのモデルに分類される。台湾の選挙管理機関である中央選挙委員会(中選会)は独立モデルと評価されているが、混合モデルと見なすのが妥当である。1980年に成立した中選会は、内政部長がその主任委員を兼任するなど人事面で内政部との一体性が強く、選挙管理機関としての独立性は低かった。2009年の「中選会の法制化」により中選会は独立機関と位置づけられた。台湾の選挙管理機関の独立性は民主主義が定着する過程で確立されたといえる。
|