本研究では, EU離脱問題を事例として取り上げて,イングランド・ナショナリズムの政治化によってイギリスの政党政治にどのような変化がもたらされたのか,という点に注目して分析を行った。研究を通じて明らかにされた点としては,①イングランド・ナショナリズムの台頭とグローバル化や非対称的権限移譲枠組に対する「置き去りにされた人々」の反発の結びつき,②イングランド・ナショナリズムに対する二大政党の対照的な対応と事実上のイングランド・ナショナリズム政党としてのUKIP,③EU離脱問題とアイデンティティ政治およびアングロスフィアの関連,を挙げることができる。
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