研究課題/領域番号 |
17K03570
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
野口 雅弘 成蹊大学, 法学部, 教授 (50453973)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | オットー・キルヒハイマー / オーストリア / 大連立 / テクノクラシー / フランクフルト学派 / ナチ |
研究実績の概要 |
オットー・キルヒハイマーが「包括政党」テーゼを出すときに、戦後オーストリアの大連立を意識していたことがわかった。このためウィーンの関連図書館で資料調査を行い、インタビュー調査をした。 『忖度と官僚制の政治学』(青土社、2018年12月)を刊行した。この本は、「第10章 官邸主導のテクノクラシー――キルヒハイマーの「キャッチ・オール・パーティ」再論」を中心にして、キルヒハイマーに関する研究の成果を踏まえた論集である。 アメリカの諜報機関Office of Strategic Service(OSS)でキルヒハイマーらがドイツについて分析した文章『ナチ・ドイツの秘密レポート』Secret Reports on Nazi Germany: The Frankfurt School Contribution to the War Effortの翻訳を進めた。現在、原稿の最終調整に取り掛かっており、2019年度中には刊行する予定である。 政党政治の政治社会学・政治思想としても重要な著作である、マックス・ウェーバーのPolitik als Berufを翻訳し、『仕事としての学問 仕事としての政治』(講談社学術文庫、2018年7月)を刊行した。 政党と選挙制度(比例代表)をめぐる論文「比例代表制をめぐるウェーバーとケルゼン : 「政治空白」という用語について」『成蹊法学』88巻を発表した。 最後に、学術的な体裁のものではないが、『現代ビジネス』に執筆したエッセー「「コミュ力重視」の若者世代はこうして「野党ぎらい」になっていく」も、キャッチ・オール・パーティ(包括政党)をめぐる考察の副産物の1つである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウィーンでの調査、翻訳、単著の刊行ともに順調である。
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今後の研究の推進方策 |
『ナチ・ドイツの秘密レポート』の翻訳をしながら、研究を進める。 キルヒハイマーの政党理論に関する論文を執筆し、発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外出張を2回行う予定であったが、日程の調整がうまくいかず、1度しか実施できなかった。 今後、出張の日数が確保できないなどのことがあれば、資料の取り寄せや書籍の購入によって情報の収集をすることで、適正な予算執行に努めていきたい。
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