研究課題/領域番号 |
17K03573
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
宗前 清貞 関西学院大学, 総合政策学部, 准教授 (50325825)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 医療制度 / 福祉国家 / 公共政策 |
研究実績の概要 |
研究は特に問題なく進展している。2018年度は主に地方政府における公衆衛生行政の萌芽と発達について研究した。1930年代後半には、厚生省の分離独立、保健所の創設、そして保健婦制度の創設と市町村配置が行われているが、これらは高度国防国家化の一環として展開された、軍事色の強い政策ではあった。
ただし、保健婦は中等教育卒業に加えて三年以上の専門教育を前提とするなど、当時の女性の標準的なキャリアから考えればかなり高度な資格として設定されていた。こうした職員が市町村レベルで配備されたことで、結核予防・治療と周産期保健の向上に一定の成果を得る事になった上に、市町村行政の範囲が拡大し、いわゆる「総合行政化」が進んでいったのである。
これらの研究は、2019年3月に論文「地方政府と医療行政-政府間関係における政策の展開-」(『大阪薬科大学紀要13号』)として公刊した。また、この歴史的研究を編み込んで、現代の地方政府における医療行政について総合的に論じた教科書『政策と地域 第3章』(ミネルヴァ書房、近刊)も執筆した。さらに近々公刊を予定している単著『医療制度の歴史分析(仮題)』(出版社未定)の第3章及び第4章に研究成果を反映させ、医療制度の歴史的展開について学術的な貢献を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年までやや滞留していたが、それは研究成果の発表場所がなかったためで、研究自体の進捗は想定内であった。今年度は溜まっていた成果を発表したため、研究の進捗は予定どおりである。
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今後の研究の推進方策 |
助産師(産婆)が戦前においてどの程度自立した職業であったかについて解明し、これまでに明らかになっている市町村レベルの保健行政との連動について明らかにしたい。また、戦後、日本看護協会が成立するにあたって、助産婦は統合に消極的であった経緯を解明し、女性の専門職として看護職が確立していくプロセスを明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた出張が、他用務日程の活用で節約できたため、一回分の費用を次年度に余剰として生じさせることができた。この費用は、夏季にヒアリングおよび資料収集の出張日程を2日延長して活用する(2宿泊費、2日当)。
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