日本の周産期衛生状態は世界最高水準にあるが、ほんの70年前まではそれほどよい状態ではなかった。しかもわが国の対GDP費医療支出はそれほど高くなく、いわば「安くて良い」医療がなぜ実現したのかは大きな謎であった。 本研究は、それが戦時体制とはいえ、地方政府に政策執行責任を負わせ、憲法体制が変化した戦後においてもそれが継続した点にあることを、社会科学分野(少なくとも政治学・公共政策学分野)では初めて明示した。歴史的経路依存で成立した制度なので、今後の制度変更は細心の注意を払って設計すべきであることを暗示した。
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