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2019 年度 実績報告書

植民地支配の遺産と多文化共生政策:地方政治家と朝鮮学校を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 17K03575
研究機関山形大学

研究代表者

松本 邦彦  山形大学, 人文社会科学部, 教授 (40241682)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード地方政治家 / 在日外国人 / 民族教育 / 在日朝鮮人
研究実績の概要

本研究の研究目的は、21世紀に本格化すると思われる日本の多文化共生社会の有り様を展望するために、現在の多文化共生政策において一種の“例外”扱いとなっている朝鮮学校を焦点にして地方政治家の意識と、その政治家に影響を及ぼしていると思われる言論、特に保守派の言論をさぐっていくものである。
まず保守派の言論については、戦前の植民地支配の当事者によるものを考察し、第三年度に論文として公表した。彼らが強く推進した在日朝鮮人の同化運動「皇民化政策」が、日本人自身の日本文化改革・改造運動とも言える「新体制」運動に先んじて、朝鮮人が日本人よりも日本人らしくなれる道として推進されたことを明らかにした。
地方政治家については、東京都議会と宮城県議会、仙台市議会での発言を請願や陳情の審査を手がかりに収集した。占領期には反共の観点からの危険視があるものの、朝鮮学校が公立から私立に移管されてのちの1950年代から北朝鮮への「帰国」事業や「祖国往来」運動に対しては支持があること。また1960年代には朝鮮学校の各種学校としての認可も支持されていることがわかった。しかしこれら支持は消極的なもので、「帰国」事業の背景にある朝鮮人の困窮には同情はあるものの、人権意識には乏しく、日本社会の責任を問うたり、公立学校にいる在日朝鮮人への言及はほとんどない。それが、2002年の北朝鮮政府の「拉致」自認以降、消極的支持が一気に逆転し、在日朝鮮人と民族学校を日本社会の敵として見なすかのように、朝鮮学校への補助金停止を正当化する要因になったと思われた。
また、朝鮮学校を積極的に支持する発言は社会党や共産党のみならず、一部の保守系の議員もしていることがわかった。これら議員についての調査はCOVID-19対策による県境移動の制限で不充分なものとなっている。2020年度以降の実施をおこないたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 「協和会」と皇民化運動の思想的背景:戦時下の在日朝鮮人政策2019

    • 著者名/発表者名
      松本邦彦
    • 雑誌名

      山形大学紀要(社会科学)

      巻: 第50巻第1号 ページ: 023-048

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-01-27  

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