近年、新興国が国際政治経済においてプレゼンスを高めるのと比例するように、新興国は対外援助においても注目を集めるようになってきた。新興国の台頭は対外援助のなかの人道支援においても顕著になってきており、新興国は人道支援の「受け手」から「送り手」に変容してきている。本研究は、新興国の人道支援に焦点を絞り、「新興国の『南南人道主義』は国際秩序を変えるか」という大きな問いを扱う。具体的には、(1) 新興国が行っている人道支援を説明するため「南南人道主義」(south-south umanitarianism)という概念を提示し、(2) 「南南人道主義」が形成されたダイナミズムを究明し、(3) 「南南人道主義」が既存の国際人道レジームに及ぼすインパクト等、今後の人道支援への政策的含意を導く。 2022年度は、韓国・台湾における現地調査を夏季に実施することを予定していたが、新型コロナ感染症のパンデミックに伴う情勢により全て断念した。 2022年度には新たなOutputを出すことはなかったものの、2017年度から2022年度までの6年間に、コロナ禍による研究計画の大幅な変更(海外調査の断念)を余儀なくされながらも、国際学会での英語による研究発表5件、国内学会での報告1件、英文出版社による共編書籍1冊、英語論文3本(査読付き)、国連機関による論文公表1本、国内紀要論文1本により研究成果を公表している。
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