研究課題
基盤研究(C)
本研究は「南南人道主義」という観点から新興ドナーによる人道主義・人道援助の形成・変容に見られる独自性を理解することを目的としていた。特に、人道主義という規範が新興国の多国間援助にどのように展開してきたかに注目して、中国・中東湾岸諸国・南アフリカの事例を中心に調査・分析を行った。中国・中東湾岸諸国・南アフリカも独自の多国間人道主義を制度化してきているが、両事例とも西側諸国が制度化した多国間人道主義とも連携してきたことも判明している。こうした指摘を査読付き論文(英文)等で行った。
国際開発
新興国の多国間援助は人道援助であるかどうかを問わず、西側諸国が作り上げた多国間援助を揺るがすのではないかとみなされてきたが、本研究では、中国・中東湾岸諸国・南アフリカにおいても、人道援助に関しては、既存の多国間援助と必ずしも異質であるとは限らないことが示唆された。新興国援助については、分野によって伝統的な援助アーキテクチャと異質もしくは調和的であり、分野ごとに検討する必要性が示唆された。