本研究の学術的な意義は以下の点にある。米国や中国のような大国間の貿易戦争において日本のような第三国が締結する貿易レジーム(Free Trade Agreement: FTA)が、第三国の政治的支持関数に及ぼす影響について検討している点である。FTAの締結は、貿易戦争当事国の第三国に課す最適関税率の相違をもたらし、貿易削減効果や貿易転換効果に影響を及ぼす。第三国を含む貿易戦争のモデルを構築し、貿易戦争において最適関税率や貿易レジームの相違が第3国の貿易や政治的支持関数に及ぼす影響を分析した研究はこれまで存在しない。
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