今年度の研究成果は次の2点である。1)本歴史研究課題の起点となる1967年「イントレピッドの4人」脱走米兵事件の当事者の一人で現在、カナダ・バンクーバー在住のジョン・バリラへの聞き取りに成功したことがまず挙げられる。それ以前の2年間に接触したクレイグ・アンダーソン、マイケル・リンドナーと合わせて、元脱走兵3名への聞き取り内容から脱走兵目線の事件の全容解明と現代的文脈から事件の意味合いを位置付ける歴史叙述が可能になったことが本年度の最大成果といえる(4人のうちのリチャード・ベイリーはスウェーデンで数年前に死去したことがリンドナーへの聞き取りでわかった)。2)申請者はこれまでベ平連/ジャテック運動に関わったアメリカ人に関する調査を地道に行ってきた。本年度、1970年から1972年までの2年間、岩国や沖縄で反戦米兵支援活動に携わったアメリカ人女性バーバラ・バイへの3回目の聞き取り調査から、彼女の興味深いライフヒストリーの全容がほぼ明らかになった。2019年12月1日、大阪大学で開催された地域べ平連研究会にて「奉仕としてのベトナム反戦―バーバラ・バイの日本・沖縄活動体験」という題目で、その成果について中間報告を行った。
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