研究課題/領域番号 |
17K03592
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
目加田 説子 中央大学, 総合政策学部, 教授 (00371188)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地雷 / 核軍縮 / 市民社会 / クラスター爆弾 |
研究実績の概要 |
本研究では、過去20年間を通じて国際問題における非政府組織(NGO)を中心とした脱国境型市民社会ネットワーク(トランスナショナル・シビル・ソサエティ、以下TCS)の機能がどのように変質したのか否かについて検証し、課題抽出を目的としている。 2018年度は、主に二つのケーススタディに関する調査研究を進めた。 1点目は、朝鮮半島における対人地雷問題である。2018年に入り、南北首脳会談や初の米朝首脳会談が開催されたことを受け、朝鮮半島の地雷問題も新たな局面を迎えることになった。南北首脳会談における合意によって非武装中立地帯の遺骨収集に伴う地雷除去が開始し、TCSの活動も活発化した。今後の情勢次第で状況は流動化する可能性がある一方、TCSや国際機関には南北共同作業による地雷除去が信頼醸成の一歩になるとの期待もあることから、筆者は現地での調査研究を進め、ヒアリングを実施して来た。韓国の延世大学主催シンポジウム等にパネリストとして参加して議論を重ねた他、2018年夏に北朝鮮を訪れる機会を得たことも、研究上貴重な示唆を得ることとなった。 2点目は、核軍縮におけるTCSの再検証である。2017年に採択された核兵器禁止条約の成立過程を精査する中で、核兵器禁止を求める運動は長い歴史を有していることから、その変遷を文献で辿りつつ、冷戦後の活動経過についてニュージーランドの関係者へのヒアリング等を実施して来た。特に、20年前には存在しなかったSNS等の情報技術がTCSへ及ぼしている正と負の影響について注目し、今後の課題について検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は先述の通り、朝鮮半島情勢の動きに連動してTCSの活動が活発化したことから、本研究の目的である20年の変遷を精査する上でも好機となった。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は本研究の最終年度であるため、これまでの研究調査、フィールド調査等をまとめる作業を中心に進める予定である。同時に、関係各所へのヒアリングや資料収集も引き続き継続して実施する。 引き続き朝鮮半島における地雷除去の推移をフォローしつつ、2019年度に50年の節目を迎える核拡散防止条約を巡る関係者の活動にも注目して調査研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に予定していたヒアリング等が先方の予定で次年度に繰り越した為。
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