研究課題/領域番号 |
17K03592
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
目加田 説子 中央大学, 総合政策学部, 教授 (00371188)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 市民社会 / 人道的軍縮 / 地雷 / クラスター爆弾 / 核兵器 |
研究実績の概要 |
本研究は、非政府組織等の市民社会が国境を越えて連携しながら国際規範形成に影響力を及ぼす機能について、冷戦終結以降の取組を検証しつつ今後に向けた課題の抽出を目的としている。 2020年度は、冷戦終結以降顕著になった「人道的軍縮」の概念を中心に据えつつ成果をまとめる準備を進めた。脱国境型市民社会ネットワーク(以下、TCS)の存在感が顕在化した地雷禁止条約やクラスター爆弾禁止条約、そして2021年1月に発効した核兵器禁止条約について、条約の成立過程、そして条約発効後の履行・検証手段について比較検討し、他分野への応用と広がりについても現状と展望を分析した。 約20年前にTCSの存在が注目されて以降、TCSの役割は一過性のものなのか、軍縮をめぐる国際政治に構造的変化をもたらす新しい潮流たり得るのか、識者の中でも意見が分かれた。TCSの軌跡を振り返ってみたとき、一部の国家や国際機関等の多様な主体が共鳴しながら国際規範を成立させる過程は、21世紀に入って重視されるようになった国際社会の価値観を先取りして具現する試みでもあったのではないか(例えば、「誰一人取り残さない」持続開発を目指すSDGs等)。 2021年度は最終年度となることから、COVID-19の影響で十分実施できなかったヒアリング等を充実させつつ、感染症が「人道的軍縮」に及ぼす影響、とりわけ軍事費の支出や安全保障の概念変化に着目して研究を続ける。そして、秋までにはポリシー・ペーパーとしてまとめるべく執筆を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、当初予定していた国内外の出張がすべてキャンセルとなったことによる。また、研究対象としていた条約の準備会合や締約国会議等が軒並み延期となったことが大きく影響している。研究計画を変更しつつ、それまでの成果をまとめる準備をしているが、情報収集やヒアリング等の面でやや遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度も海外渡航を伴う調査や情報収集は困難な見通しである為、昨年度同様可能な限りオンラインによるヒアリングや延期となっている各種会合/会議のフォローを継続する予定である。 尚、今年度は研究最終年度である為、これまでの研究成果をまとめるべく現在論文を執筆中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19により、国内外の出張が延期・キャンセルとなった為。
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