研究課題/領域番号 |
17K03593
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
川嶋 周一 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (00409492)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ヨーロッパ統合 / 国際主義 / 連邦主義 / 20世紀 / 機能主義 / EU |
研究実績の概要 |
本研究は、欧州統合史研究と国際関係史研究を接合し、20 世紀前半における欧州統合認識の形成と変容を、世界認識との関わりから再検討するものである。 具体的には、ベルギーの書誌学者・平和活動家のポール・オトレ、機能主義者、連邦主義者の国際秩序観ならびに欧州統合観を取り上げ、その思想の展開に影響を与えた国際状況の相互関係に焦点を当てることで、欧州統合を20 世紀史の中に位置付けることを最終的な目標とする。 2021年度は、2020年度に続き、本来はフランスの連邦主義者およびアレクサンドル・コジェーブ文書を引き続き収集し、1940年代から50年代にかけての世界認識と連邦主義、そしてヨーロッパ統合の知的連関を検討する予定だった。しかるに、2020年2月末から起こった新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、これらの資料収集の予定は2020年に引き続き2021年度においてもすべて中止となった。 他方で、現在を含むヨーロッパ統合の歴史的政治的問題構造を捉えなおす作業を進め、それらの成果は共著『EUにおける経済通貨同盟の問題点と政策的統合の必要性』(文眞堂)に収録されている「戦後西ドイツの欧州経済統合観とオルド自由主義―ローマ条約交渉における政府内議論を手掛りに1953-1956―」として結実した。これは、欧州統合の経済秩序を基礎づける経済秩序思想の一つで、西独の戦後経済復興に大きな影響を与えたオルド自由主義に注目し、当該思想と欧州統合の連関と、特に1950年代の西独において具体的にどう結びつき影響を与えたのかについて考察したものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究実績概要欄にも記載したように、2020年2月末から日本のみならず世界中を席巻した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い、日本と研究対象となる西欧各国との往来が不可能となり、本研究が想定していた西欧各国での史料収集も2021年度中も引き続き不可能となったため。研究実施計画が遅れているのは事実であり、大変忸怩たる思いである。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染状況をめぐる海外渡航の制約については、徐々に緩和の兆しが生じている。海外渡航に関する情報を精査し、海外史料収集が可能となる方策の着手を期したい。 同時に、国内で可能な研究文献の収集と先行研究の精査について引き続き取り組んでいく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年2月末以降に日本および世界全体における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い、海外渡航に対する制約が大変強く、予定していた史料収集が不可能となったことにより、予定していた研究を遂行できなかったため。
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