研究課題/領域番号 |
17K03595
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
池本 大輔 明治学院大学, 法学部, 教授 (40510722)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ブレグジット / グローバル化 / ポピュリズム / 欧州懐疑主義 / 政党政治 / 欧州連合(EU) |
研究実績の概要 |
本研究は、イギリスのEU離脱(ブレグジット)の政治内在的な説明を提供することを目的としている。具体的には、サッチャー政権期に起きた経済政策の刷新とイギリス政党制の再編成によって各政党の対EU政策が大きく変化したことが、ブレグジットの一因であったことを証明する。現在先進国の民主政治の中で、経済のグローバル化に対する不満の噴出が大きな問題となっているが、不満がどのような形をとり、どのような結果になるかは、歴史制度論者が主張するように各国の政治制度や過去の政治紛争によって左右されることを示す。 研究方法としては事例研究のアプローチを採用し、EUの単一市場や通貨統合の進展に対して、サッチャー率いる保守党とその他の政党勢力がどのように反応し、欧州統合に対する態度を変化させていったか、その際イギリス政党政治の再編がどのような役割を果たしたのか、特定することを目指す。政府内や政党間・政党内での議論を分析するため、イギリスや大陸ヨーロッパの公文書館で利用可能な一次資料を幅広く活用する。イギリスに関する調査結果は、他のEU加盟国についての比較研究と照合することでベリファイする。 平成29年度は、関連図書・論文の収集に努めると共に、イギリス・大陸ヨーロッパの公文書館・図書館において一次史料の収集を行い、その分析に着手した。所属機関の在外研究の制度を利用し、年度をつうじてイギリス・ケンブリッジ大学に滞在することができたため、そのアドバンテージを生かして、ロンドンのナショナル・アーカイブ、ケンブリッジ大学チャーチル・カレッジ、ブリュッセルにあるEUのアーカイブなどで史料を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
一年間在外研究でイギリスに滞在できるというアドバンテージを生かし、当初の計画以上に多くの史料を入手することができた。具体的には、イギリスの公文書館・図書館で研究テーマに関連する様々な一時資料を入手した。ロンドン・キューにあるナショナル・アーカイブにおいて、首相個人文書・大蔵省文書・外務省文書など政府資料のコピー(写真)を約5万ページ分収集した。ケンブリッジ大学チャーチルカレッジ付属公文書館では、サッチャー首相個人の文書や、首相の経済アドバイザーであったアラン・ウォルタースの文書を収集した。ベルギーのブリュッセルにおいては、EUの公文書館で1986年に調印された単一欧州議定書に関連する史料を入手することができた。収集したこれらの史料の内容については、順次分析を進めているところである。 それに加えて、2017年2月にケンブリッジ大学財政史研究会で、3月にはエグゼター大学歴史研究会で暫定的な研究成果については、報告を行う機会があり、当該研究分野をリードする世界的な権威から有益なコメントを受けることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に引き続き英国とブリュッセルで史料の収集を行いつつ、入手した史料の分析に努める。英国の政府文書の公開はいわゆる「三十年ルール」から「二十年ルール」への移行期にあり、最近では一年間に二年分の史料が新しく公開されることも多い。それらを収集するためには、毎年度渡航することが不可欠となる。平成31年度まで3年間にわたって史料収集を行うことで、サッチャー政権期に作成された政府文書全てとメージャー政権初期の文書が入手できるため、主たる研究対象となる期間全てをカバーできる。研究計画の変更は現段階では必要ない。
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次年度使用額が生じた理由 |
一年間にわたってイギリスに滞在していたため、旅費が当初の想定を下回った。次年度に繰り越した分は、ヨーロッパ各国で史料調査を行うための費用として用いる予定。
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