研究課題/領域番号 |
17K03599
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
奥迫 元 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授 (80386557)
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研究分担者 |
山本 武彦 早稲田大学, 政治経済学術院, 名誉教授 (10210535)
庄司 真理子 敬愛大学, 国際学部, 教授 (20192627)
本多 美樹 法政大学, 法学部, 教授 (30572995)
宮脇 昇 立命館大学, 政策科学部, 教授 (50289336)
坪内 淳 聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (60303393)
玉井 雅隆 東北公益文科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60707462)
臼井 実稲子 駒沢女子大学, 人文学部, 教授 (80257279)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 経済制裁 / 金融制裁 / 対抗制裁 / スマート・サンクション / ココム |
研究実績の概要 |
本研究は3つの仮説の立証を主目的に研究活動を行っている。つまり、第1仮説:対抗制裁は、国連制裁に対しては発生しにくい(権威仮 説)、第2仮説:対抗制裁は、非民主主義国ほど起こりやすい(体制仮説)、第3仮説:対抗制裁は、民需分野ほどなされやすい(領域仮説)、以上3つの仮説である。 3年目にあたる当該年度では、上記3仮説のうち、主として第3の仮説の検証に関わる研究を中心に展開してきた。この研究を推進する にあたり、我々が得られた研究実績の概要は以下の3点である。 1.グローバル化時代の経済制裁を含む安全保障研究に向けた、安全保障の概念分析、及び安全保障研究と平和研究の統合を試みる論文(奥迫)、近年のアジア・太平洋、およびユーラシア大陸を取り 巻く資源地政学・地経学的諸条件・諸争点を検討する図書(宮脇)、今日のヨーロッパにおける人権規範をめぐる諸状況・諸問題について考察する論文(庄司、本多、 玉井) 2.研究分担者による学会報告(玉井、庄司、本多、宮脇、奥迫) 3.アメリカにおける内陸水路開発と制裁との連関、及びエスニック・ネットワークの観点から「民」の制裁について考察する研究報告を中心とする研究会の開催。なお、上記3点に加えて、英文著書の出版に向けた研究会も行い、対抗制裁に関する第3仮説を中心に、第1および第2仮説も踏まえた議論をさらに深めることが できた。 その一方、2019年度内の英文図書の出を目指していたが、アメリカによる対イラン制裁の再開とエスカレーションや、米中間の関税引き上げ政策の対抗的応酬などが生ずる中、これらの新たな動向も視野に入れる必要から準備作業の延長が必要となったこと、さらに2020年3月28日に予定されていたはISAの研究大会(ホノルル)でのパネル開催が新型コロナウィルス問題により中止を余儀なくされたことから、事業期間の延長を申請することとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究活動3年目は、とくに、英文図書の出版に向けた準備作業や、主に国内を中心とした研究分担者各自の分担研究、および研究会の実施などの点で、一定の成果を収めることができた。加えて、2年目に続き研究分担者による研究テーマと関連する学会報告も旺盛になされた。 その一方で、本年は、当初の計画に沿って第3仮設である対抗制裁と各国政治体制との関連に関する研究の深化を図ることを目標としていたが、アメリカによる対イラン制裁の再開とエスカレーションや、米中間の関税引き上げ政策の対抗的応酬などが生ずる中、これらの新たな動向も視野に入れた研究が必要となったこと、さらに2020年3月に予定されていたはISAの研究大会(ホノルル)でのパネル開催が新型コロナウィルス問題により中止を余儀なくされたこともあり、事業期間の延長が必要となったことから、対抗制裁研究に関して所定の目標のすべてを達成することはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策としては、本年度は研究第4年目として、アメリカによる対イラン制裁の再開とエスカレーション、米中間の関税引き上げ政策の対抗的応酬などの新しい動向をも視野に入れて、引き続き第3仮説:対抗制裁は、民需分野ほどなされやすい(領域仮説)、に関して立証を進めていく。また、海外の研究協力者(Thomas J. Bierstekerら)との連携国際シンポジウムの開催や、国際学会でのラウンドテーブルの実施(来春にラスベガスにて開催予定のISAの研究大会でのパネル開催が決定している)などを通じて研究の海外展開を積極的に進め、最終的に経済制裁に関する英文著書の出版の実現を目指すものとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究2年目の当該年度は、研究分担者による海外での共同学会報告、および英文著書の出版に向けた準備を着実に進めるため、主として国内での研究、学界発表 およびシンポジウムの開催を中心に研究を展開してきたため、研究費の使用額が当初の予定を下回ることになった。研究最終年度にあたる本年度は、2020年3月 にホノルルにて開催されるISA (International Studies Association)でのラウンドテーブルの開催実現、これまでより規模の大きな国際シンポジウム・ワーク ショップの実施、経済制裁関連英文著書の出版等を通じて、研究の海外発信と集大成を果たすべく、有効・有意義に次年度使用額も含め、研究費を使用していく。
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