研究課題/領域番号 |
17K03600
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中村 英俊 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (80316166)
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研究分担者 |
BACON Paul.M. 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (40350706)
吉沢 晃 同志社大学, 政策学部, 助教 (90743857)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 日欧政治関係 / 安全保障アクター / 国際統合論 / リベラル国際秩序 / EU / ヨーロッパ統合 / ブレグジット / イギリス政治外交 |
研究実績の概要 |
本年度は、ブリュッセル自由大学(ULB)やベルリン自由大学(FUB)との国際共同研究を中心に、本研究代表者がコーディネートする研究拠点形成事業の大枠内で充実した研究を進めることができた。研究代表者が6月にFUB、3月にULBを訪れた一方で、FUBの研究協力者が10月に、ULBの共同研究者が7月・11月・1月に早稲田大学を訪れて、ワークショップ・セミナーを開催した。特に、10月にベーコンと中村の共著ペーパーに対してFUBのベルツェル・リッセ両教授のコメントをもらったことが重要である。 他にも、イギリスなどとの間で国際共同研究を着実に進展できた。中村は5月にトリニティカレッジ・ダブリンなどを訪れて、アイルランド国境問題をめぐるBrexit(イギリスのEU離脱)交渉に関する情報収集を行った。3月末には英ケント大学のR・ウィットマン教授が来日(次年度にかけて約3週間滞在)、「安全保障アクター」概念をめぐる国際共同研究などを着実に展開できている。 2018年7月に日本とEUの2つのアクター間で経済的・戦略的な連携・パートナー協定(EPAとSPA)が署名されたこと、そして、同年11月にBrexitをめぐる英EU協定が締結されたこと(しかしその後この協定が英議会で承認されていないこと)など、本研究課題にとって重要な事象を同時代的に観察・考察することができた。後者については、2016年6月Brexit国民投票の結果とグローバリゼーションの関係を論じた日本語論文を脱稿した。 全般的に、「リベラル国際秩序」をめぐる学術的・実務的な論争を踏まえながら、「安全保障アクター」概念を独自に定義し、EUと日本という国際アクターの行動を正確に描写し、両者の政治関係が持つ意義を考察し続けることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の2年目は、「流動化するグローバルなリベラル秩序におけるEUと日本:地域間研究の拠点形成」を研究交流課題名に研究代表者がコーディネーターを務める(研究分担者2名も参加する)研究拠点形成事業(A.先端拠点形成型)の初年度に重なった。ベルリン、ウォーリック、ブリュッセル、ケントなどの研究協力者との共同研究が進展した。 ベルリン自由大学(FUB)のT・ベルツェル教授とT・リッセ教授が10月末に来日した際、両教授が展開してきた「規範伝播」モデルに基づいて、EUが死刑制度をめぐる人権規範を日本に伝播しようと試みた事例を考察するペーパーにコメントをもらい、ベーコンと中村の共同論文として完成させる目途が立った。 リベラリズムの危機(=中国やアメリカの影)の下で進展する日EUパートナーシップをテーマとして共著書を公刊したばかりのウォーリック大学のC・ヒューズ教授が7月末から8月中旬まで来日した際には、Brexit後の日EU関係、日英関係、英EU関係をテーマとするセミナーを来年度夏にウォーリックで開催すべく企画を練り始めた。 ブリュッセル自由大学(ULB)が3月に主催したEU-Japan Forumに参加して、日EUのEPA発行の意義など広範なテーマについて議論を重ねることができた。 3月末から約3週間、ケント大学のR・ウィットマン教授を招聘することが叶い、3月末にはEU外交問題をテーマとする国際共同プロジェクトNORTIAと共催でワークショップを開催できた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題と研究拠点形成事業との相乗効果が発揮できているので、それを最大限に活かしたい。ULBやFUBとの国際共同研究を展開しつづけたい。9月に予定するウォーリック大学でのセミナーを契機に新たな出版企画を具体化させたい。 4月中旬まで滞在するR・ウィトマン教授とはワークショップを開催して、「安全保障アクター」概念をめぐる国際共同研究を一歩前に進めたい。 本研究課題の最終年度なので、研究者の招聘などを着実に実施したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度末にケント大学の研究協力者を招聘したが、次年度4月中旬まで滞在することになり、支出が遅れた。順調に国際共同研究を進めており、予定通りに使用することになる。
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