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2020 年度 実施状況報告書

安全保障アクターとしてのEUと日本:リベラル国際秩序における日欧政治関係

研究課題

研究課題/領域番号 17K03600
研究機関早稲田大学

研究代表者

中村 英俊  早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (80316166)

研究分担者 BACON Paul.M.  早稲田大学, 国際学術院, 教授 (40350706)
吉沢 晃  関西大学, 法学部, 准教授 (90743857)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード日欧政治関係 / 安全保障アクター / 国際統合論 / リベラル国際秩序 / EU / ヨーロッパ統合 / ブレグジット / イギリス政治外交
研究実績の概要

リベラル国際秩序における安全保障アクターとしてのEUと日本に関して、トランプ政権下でアメリカの認識がどのように変化してきたのかを追加調査する必要が生じたので、補助事業期間延長を認めていただいた。しかし、本年度に入りCOVID-19感染拡大状況は改善せず、米国出張による追加調査を実現できなかった。その間、アメリカではバイデン大統領への政権交代が実現して、リベラル国際秩序を支えてきた日米欧G7体制を再強化する試みも始まっている。インタビューなど一次資料の収集はできなかったが、二次資料を通して考察を試みることはできた。
コロナ禍で、海外出張はできず、研究者交流を深めることは困難を伴った。ウェブ会議システムによるワークショップを開催したが、フォローアップを目的とすることはできても、時差を気にせず長時間にわたり議論を深めて、新たな論点をめぐるブレーンストーミングをすることは難しかった。
そのような状況下でも、本年度も研究分担者(P・ベーコン)との共著論文を公刊することができた。これは、ベルリン自由大学(FUB)のベルツェル・リッセ両教授が展開してきた「規範伝播」モデルに基づいて、EUが死刑制度をめぐる人権規範を日本に伝播しようと試みた事例を考察したもので、査読を経てJournal of Common Market Studies(Q1学術誌)に公刊された。
「リベラル国際秩序」をめぐる学術的・実務的な論争を踏まえながら、「安全保障アクター」概念を独自に定義し、EUと日本という国際アクターの行動を正確に描写し、両者の政治関係が持つ意義を考察し続けることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題の4年目は、「流動化するグローバルなリベラル秩序におけるEUと日本:地域間研究の拠点形成」を研究交流課題名に研究代表者がコーディネーターを務める(研究分担者2名も参加する)研究拠点形成事業(A.先端拠点形成型)の3年目と重なった。ベルリン、ウォーリック、ブリュッセル、ケントなどの研究協力者との共同研究を継続した。
共同研究をしてきたベルツェル・リッセ両教授(ベルリン自由大学FUB)が展開してきた「規範伝播」モデルに基づいて、EUが死刑制度をめぐる人権規範を日本に伝播しようと試みた事例を考察した、ベーコンと中村の共著論文が公刊された。
2020年1月末にイギリスのEU離脱協定は発効したが、EU正式離脱後のイギリスをめぐる国際関係、特に、日EU関係、日英関係、英EU関係をテーマとした考察を続けた。ケント大学のR・ウィットマン教授との間で、「安全保障アクター」概念に関する議論を続けることができた。リベラル国際秩序における安全保障アクターとしてのEUと日本に関して、トランプ政権からバイデン政権に交代したアメリカの認識がどのように変化してきたのか観察することができた。

今後の研究の推進方策

本研究課題と研究拠点形成事業との相乗効果が発揮できているので、それを最大限に活かしたい。ベルリン自由大学FUB、ベルギー自由大学ULB、ウォーリック大学、ケント大学、オックスフォード大学などの研究協力者たちとの国際共同研究を展開しつづける。
リベラル国際秩序における安全保障アクターとしてのEUと日本に関して、アメリカの認識の変化を視野に入れた分析を深めたい。具体的には、「リベラル国際秩序論」の一人者であるJ・アイケンベリー教授などとの研究交流を図りたい。2021年11月には国際シンポジウムも開催予定である。補助事業期間の延長を認めていただいたので、コロナ禍で研究出張(招聘を含む)が困難かつ非効率な場合はウェブ会議システムなどの代替策も講じて、本研究課題の最終年度として着実に総括に至りたい。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍で海外出張ができず、旅費等で予定していた出費が叶わなかったため。2021年度は、書籍購入あるいは研究補助謝金などで支出を予定している。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 図書 (3件)

  • [国際共同研究] ウォーリック大学/ケント大学/オックスフォード大学(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      ウォーリック大学/ケント大学/オックスフォード大学
    • 他の機関数
      1
  • [国際共同研究] ベルリン自由大学(FUB)(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      ベルリン自由大学(FUB)
  • [国際共同研究] ブリュッセル自由大学(ULB)/カトリック・ルーヴェン大学(KUL)(ベルギー)

    • 国名
      ベルギー
    • 外国機関名
      ブリュッセル自由大学(ULB)/カトリック・ルーヴェン大学(KUL)
  • [雑誌論文] Diffusing the Abolitionist Norm in Japan: EU ‘Death Penalty Diplomacy’ and the Gap between Rhetoric and Reality in EU?Japan Relations2021

    • 著者名/発表者名
      Bacon Paul、Nakamura Hidetoshi
    • 雑誌名

      JCMS: Journal of Common Market Studies

      巻: online first ページ: 1-21

    • DOI

      10.1111/jcms.13177

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] EU-Japan Security Cooperation: Trends and Prospects, edited by E.Kirchner and H.Dorussen (London: Routledge, 2019, ISBN 9781138315808); xxiii+223pp., £120.00 hb.2021

    • 著者名/発表者名
      Nakamura Hidetoshi
    • 雑誌名

      JCMS: Journal of Common Market Studies

      巻: 59 ページ: 181~182

    • DOI

      10.1111/jcms.13148

  • [図書] EUの規範とパワー2021

    • 著者名/発表者名
      市川 顕、髙林 喜久生(吉沢晃、分担執筆)
    • 総ページ数
      244(「EUのカルテル規制における域外企業の無差別待遇」67-86)
    • 出版者
      中央経済社
    • ISBN
      978-4-502-37401-2
  • [図書] よくわかるEU政治2020

    • 著者名/発表者名
      坂井 一成、八十田 博人(吉沢晃、分担執筆)
    • 総ページ数
      240(「産業」72-73;「R&D」74-75;「競争政策」76-77)
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      9784623088249
  • [図書] Supranational Governance at Stake: The EU’s External Competences caught between Complexity and Fragmentation2020

    • 著者名/発表者名
      Mario TELO, Anne WEYEMBERGH eds. (Hikaru YOSHIZAWA)
    • 総ページ数
      306 (External Competition Policy, pp.195-208)
    • 出版者
      Routledge
    • ISBN
      9780367821180

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公開日: 2021-12-27  

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