研究課題/領域番号 |
17K03601
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研究機関 | 東洋英和女学院大学 |
研究代表者 |
小久保 康之 東洋英和女学院大学, 国際社会学部, 教授 (60221959)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | スイス / アイスランド / EFTA / EU / EEA / 小国 |
研究実績の概要 |
2019年度は、EU本部のブリュッセルにて、EFTA各国の駐EU代表部でのヒヤリング調査を試みた。日程調整が難しく、駐EUスイス政府代表部および駐EUアイスランド代表部のみ直接ヒヤリング調査が実施できた。また、EUの対外行動庁のEFTA諸国担当部署での情報収集も行った。 スイスにおいては、2020年5月に大量移民規制に関する国民投票が再び行われる予定になっており、その結果次第でスイス・EU関係に大きな影響が出ることが予想されており、現段階ではスイス・EU間の機構枠組み協定の行方も不透明であることが明らかになった。それ故、スイスの対EU政策の状況については、2020年の国民投票の結果を待って改めて調査する必要が出てきている。 アイスランドについては、同国がEUへの加盟申請を事実上取り下げた背景として、同国経済の回復が挙げられる。またEEA(欧州経済領域)に参画している同国は、EUでの政策決定過程にこそ参加できないが、欧州委員会の事前ヒヤリングでの政策形成プロセス(Policy Shaping Process)には参加しており、またEU法の適用に関しても意見を述べる機会が確保されているなど、EUからの一方的な強制下にあるわけではないので、同国の国益を考慮した対応ができていることが明らかになった。 スイスでは、一定の国内支持を得ているポピュリスト政党がEU統合による自由化に反対しているため、EUとの関係維持が難しくなっている。その他のEFTA諸国では、基本的にEUとの関係は良好に保たれており、しかも自国の国益保護をEUとの制度的枠組みの中で調整できるメカニズムが存在しているため、EUに加盟していないことで、一方的に不利益を被るような状況にはないことが明らかになってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由の一つは、十分な現地調査を実施する時間が確保できず、情報収集が進んでいないことである。これは、研究代表者が現在学部長職にあって、特別な校務に携わらざるを得ない状況にあり、海外出張調査の実施が困難であることに起因している。 また、EU情勢が英国の離脱問題により極めて流動的であり、EU非加盟の周辺諸国に及ぼす影響について考察できる段階に至っていないことが理由として挙げられる。 さらに、スイスなどは、国内での移民規制に関する対応が揺らいでおり、論文にまとめるだけの一定の方向性が見えていないことも研究成果を公表するに至らない理由である。 以上のような理由により、当初予定より研究の進捗状況は遅れ気味である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で当初計画していた現地調査については、ノルウェーとアイスランドがまだ残っており、2020年度は両国での現地調査を進めたいと考えている。しかしながら、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、ヨーロッパへの現地調査が2020年度中に可能であるかどうかは極めて不透明となっており、その場合は、日本で収集できる情報や現地関係者とのメールでの情報交換に頼らざるを得なくなることも想定される。 いずれにしても、すでに2020年度は研究最終年度になるため、なんらかの研究成果を公表することを目標として、できる限りの情報収集に努める方向である。 英・EU間の関係再構築交渉の行方や、スイスでの国民投票なども新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、どのように展開するのか全く予断を許さない状況にあるため、本年度の研究の推進も模索を続けるしかないかもしれない。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査を2回実施することを当初計画していたが、校務多忙により、1回しか実施できなかったため、余剰分(次年度使用額)が生じた。 2020年度の支給額と合わせて、2020年度に2回現地調査を実施することを計画している。
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