研究課題/領域番号 |
17K03602
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
杉山 知子 愛知学院大学, 総合政策学部, 教授 (90349324)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 移行期正義 / ポスト移行期正義 / 人権 / 平和 / ラテンアメリカ / 冷戦期 / アメリカ |
研究実績の概要 |
今年度の研究実績は、主に以下3点があげられる。 ①2019年6月22日(土)・23日(日)に開催された日本平和学会春季研究大会(大会テーマ平和研究の役割:分断の構造の追究と紐帯の追求、会場:福島大学)において、「移行期正義をめぐる研究の変遷と平和研究の観点からみる研究課題」と題する研究発表を行った(部会テーマ「移行期正義・ポスト移行期正義・民主主義:正義を求め続ける動きと政治」)。部会では、これまで平和研究領域において論じられてきた移行期正義の評価と課題、移行期正義の実践とその発展、多様化について、普遍性の観点とローカリティの現状、平和研究の視点からの移行期正義研究の発展、事例としてアルゼンチン、チリの過去30年近くの取り組みとその限界について取り上げた。学会発表を通し、冷戦期におけるアメリカのラテンアメリカ諸国への介入とその影響についての検討の必要性、ラテンアメリカ諸国における移行期正義と和解を含めた移行期正義の取り組みを目指す他の地域(アジア・アフリカ等)ついての知見が得られた。 ② 2019年8月6日から8月19日まで、グアテマラ、エルサルバドル等における内線犠牲者慰霊碑・人権関連施設訪問、被害者団体主催のワークショップに参加した。学会発表やグアテマラ、エルサルバドル等への視察を通し、ラテンアメリカの移行期正義・人権・平和を考える上で、冷戦期のアメリカの影響についての評価をどのように行うかが課題であると認識した。 ③特に、グローバルヒストリーの視点を踏まえた冷戦期のアメリカのラテンアメリカへの介入やラテンアメリカ諸国の政治と社会についての先行研究や二次資料の考察について課題があることを認識した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
移行期正義をテーマに学会発表をし、事例では、グアテマラ、エルサルバドルにおける内戦後の移行期正義の動きについて慰霊碑建立やその後の真実及び正義を求める動きについて現地視察を行い、概ね研究の進捗状況は順調であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究を通し、ラテンアメリカにおける軍事政権下での人権侵害・移行期正義を考察するうえで、冷戦期のアメリカ・ラテンアメリカ関係の検討についての検討がこれまで十分でなかったと感じている。今後、この点も踏まえ研究を進めていきたい。
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