研究課題/領域番号 |
17K03602
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
杉山 知子 愛知学院大学, 総合政策学部, 教授 (90349324)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ラテンアメリカ / 軍事政権 / 人権 / 移行期正義 / 米州関係 / 冷戦期 |
研究実績の概要 |
令和2年度は国際学会において、研究発表を予定していたが、これらの研究大会は中止となり、2次資料をもとにした研究が中心となった。主な研究実績は以下の通りである。 1.『ラテンアメリカ 地球規模課題の実践』の「第9章 移行期正義の取り組みとグローバルな課題 過去とどう向き合い、将来を構築していくのか」(217-240頁)を単独執筆した。ラテンアメリカ諸国の事例を踏まえた先行研究に依拠し、ラテンアメリカにおける移行期正義の動きについての検討、ラテンアメリカ諸国の歴史的背景、冷戦期の軍事政権期及び民政移管後の取り組み、内戦や国内武力紛争終結のプロセスと平和構築の事業としての移行期正義の取り組み、グローバルな規模での人権尊重の規範の広がりについて考察した。 2.『ラテンアメリカ文化事典』政治のセクションにおいて、「人権侵害と真相究明」と題し、ラテンアメリカの人権侵害及び真相究明について軍事政権下での暴力、内戦、国内武力紛争についてラテンアメリカ南部諸国、中米諸国、アンデス諸国(ペルー、コロンビア)の事例を概観した。 3.2020年12月20日に開催された日本ラテンアメリカ学会中部日本研究部会(Zoomによる開催)において「冷戦期のチリにおけるクーデタの背景:Tanya Harmer著書Beatriz Allendeからの考察」と題する研究報告を行った。報告では、1973年のチリのクーデタの背景について、近年の研究として、Beatriz Allendeの役割についての紹介・検討をした。報告ではこれまでアメリカによる介入が強調されてきたが、キューバも含めた冷戦期米州関係史の視点が重要であることを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度は予定していた国際研究大会及び現地調査は中止となったが、近年のグローバル冷戦史及び米州関係史に関する二次資料調査をおこない、Zoomでの国内学会研究部会での報告を行いフィードバックを得るだど研究課題の進捗には大きな影響を受けることはなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度に続き2次資料を中心に研究を行うこととする。特にラテンアメリにおける軍事政権下や内戦での人権侵害の背景としてキューバ革命後のアメリカの介入とキューバを中心とした急進左派運動のネットワーク形成の影響、今日グローバル規模で過去の人権侵害を記憶する動きに重点を置き研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は国際学会開催の中止、海外出張を伴う現地調査が実施できず予定していた使用額とはならなかった。次年度は2次資料を中心とした研究を継続するとともに状況改善による現地調査が可能であれば検討していきたい。
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