本研究を通して、西欧型セキュリティ・ガヴァナンス概念でとらえられていなかった、多様な、政府と非政府組織の協働の態様を浮き彫りにすることができた。当初想定していたのと異なり、政府機構がしっかりとしている近代国家においても、必ずしも政府が安全保障政策を独占していない状況が発見された。とりわけ、権威主義的要素がつよい政府の場合、政府が直接手を下しにくい安全保障上の問題への対応において、非政府組織を「活用」する傾向が観察された。法を逸脱する行為を、安全保障の名のもとに「非公式」な協働によって行う行為という新たな発見も加え、セキュリティガヴァナンス概念の地平をさらに拡大することに成功した。
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