研究課題/領域番号 |
17K03606
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
廣野 美和 立命館大学, グローバル教養学部, 准教授 (40757762)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 中国 / 国連平和維持活動 / 国際人道支援 / 南スーダン / 政策決定過程 / アフリカ / 一帯一路 / コロナウイルス |
研究実績の概要 |
本研究の総まとめの活動として、次期研究プロジェクトを射程に入れた研究実績を積みながら、本研究で得られた知見を生かしながら編著を刊行し、単著の準備も進めることができた。コロナ禍により南スーダンでの現地調査ができず、もう一年延長したが、最終年度に向けて以下のような研究実績をあげた。
(A)「中国政府の政策」:前年度に出版した中国の国連平和維持活動と国際人道支援に関する政策決定過程の集中化と分散化について、国際学会で報告した。さらにその集中化と分散化という枠組みをさらに発展させて、ODAを含む中国の一帯一路構想についての編著を出版し、国際シンポジウムも開催した。またアフリカにおける中国の軍事的活動をめぐる政策について、国連平和維持活動を中心に報告を行なった。また人道支援の一環として、中国政府がコロナ禍でどのような人道支援(医療外交とも呼ばれる)を行なったかについてデータ収集を行なった。 (B)「様々な中国アクターの活動」上記、国際人道支援に関する研究の中で、さまざまな中国アクターが人道支援に関わっており、それが故に政策決定過程が分散化している現状を明らかにした。また一帯一路構想についての編著の中でも、さまざまな中国アクターが存在し政策形成過程が分散化する一方で、習近平体制における集権化も同時に存在するという、相矛盾する二つの力学が共存していることを明らかにした。 (C)「認識」:南スーダンにおけるさまざまな中国アクターの活動について研究報告を行った。また紛争・災害地域の人々の認識をまとめた単著の準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度の研究実施計画は、ほとんど完了しただけでなく、研究成果を発展させて編著を出版し、国際シンポジウムも開催した。コロナ禍により、南スーダンでの現地調査は行うことができなかったが、本年度は、オンラインフィールドワークの方法を考察し、ネットワーク作りを行った。カナダや米国の研究者との意見交換も行い、また本研究を踏まえて生じた一帯一路と国際秩序に関する問題を調査する次期研究プロジェクトの科研費申請も行い、採択された(基盤研究(C)「一帯一路と世界秩序:沿線国の総選挙から見る対中観の変容」2021-2025)。プロジェクト・ウェブページのアップデートも行なった。
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今後の研究の推進方策 |
上記の進捗状況に鑑み、本研究課題は来年まで延長し、最終年度にて南スーダンに関するオンラインフィールドワークを行う。また中国のコロナ禍における人道支援(医療外交)についても調査する。それらを含むこれまでの研究課題全体の研究成果を公表し、それに基づいて中国の研究者との意見交換を行い、さらに単著の脱稿に向けた作業を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、コロナ禍により南スーダン、米国等での現地調査を行うことが不可能となったため、次年度(2021年度)に使用することとした。しかし、2021年度もいつ海外渡航が可能になるか不明瞭な状況が続くことが考えられるため、使用計画は以下の通りとする。 1)南スーダンに関する現地調査に代わり、オンラインでの調査(インタビュー)を実施(経費はなしの予定);2)本プロジェクトのまとめとしての単著や論文の執筆完了に必要な更なるデータを収集する。このために大学院生、またはそれに準ずる人物を学生アルバイトとして雇用;3)単著執筆の時間確保のためバイアウト制度を活用(教員秘書を雇用);4)学会費;5)単著執筆に必要なパソコン等購入。
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