現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)private monitoring の理論分析について、「相手の行動を見間違えるとき」や、「共同作業の結果(成功か失敗か)を見間違えるとき」に、協調を達成するための単純で頑健な戦略が、「FnB」「FnG」というクラスに属することを見出し、これらには「いったん協力関係が崩れても、プレイヤーが足並みをそろえて協調に戻ることができる」という共通の性質があることが見いだされたのは大きな進展である。 (2)コミュニティ・ユニオンの分析においては、以前の研究で行ったインタビュ―に基づいて、「組合員が使っているらしい協調達成の戦略」の候補が見つけられていたが、データに基づいてこれを検証するのには技術的に困難が伴っていた。それは、「固定効果を持つ非線形のパネルデータモデルで右辺に左辺のラグ付き変数が入っているケースにおいて、一致性を持つ推定方法を見つける」という課題であったが、Analytical Bias Correction をはじめいくつかの最新の手法が見いだされ、これを使って推定を行った。その結果、当初予想されていた戦略が計量分析で支持されたことは、大きな進展である。 (3)戦略を相手の出方を見ながら一定のデッドラインまでに改定できるようなクラスのゲームの分析に関して、論文を完成させ国際的に最も権威ある学術雑誌 Econometrica に投稿した。その結果、「改訂の上再投稿すべし」という査読結果を得たのは大きな進展である。 (4)研究成果を、Brown, Stanford, UC Berkeley, Yonsei, Singapore Management University など世界の大学の研究会で発表した。
|