客観的確率がわからないという曖昧な状況を回避する傾向(曖昧性回避)を客観的確率の下でのリスクを回避する傾向(リスク回避)から明確に分離する微分可能な効用関数(Klibanoff et al. (2005))を用い、資産価格理論に関する応用研究を行った。均衡価格決定式に線形近似を複雑に応用することで、各資産の期待超過収益率が、従来の「多元的リスク因子」に加え、新たに「多元的曖昧性因子」にも依存する形式となるモデルを導出した。また、導出した多因子モデルの実証的検証手法を考察し、リスク回避のみに基づく多因子モデルの推計値を用ることで曖昧性因子の理論的整合性を検証する方法も導出した。
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