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2017 年度 実施状況報告書

組織における情報伝達の問題:組織内条件と市場条件

研究課題

研究課題/領域番号 17K03624
研究機関神戸大学

研究代表者

清水 崇  神戸大学, 経済学研究科, 教授 (80323468)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード組織の経済学 / コミュニケーション / 確認効果 / 発言=退出モデル / シグナリング
研究実績の概要

組織内条件の分析については、論文"Can More Information Facilitate Communication?"を改訂し、論文"Cheap Talk when the Receiver Has Uncertain Information Sources"(大阪大学の石田潤一郎氏との共著)を作成した(この論文は平成30年度4月にEconomic Theory誌への掲載が決まった)。この論文では、メッセージの受け手が、独自の情報源にアクセスできることによって、メッセージの送り手とのコミュニケーションがより効率的になる可能性を示した。これは情報源の不確実性に起因する「確認効果」(confirmation effect)と言われる、今までの研究では考慮されてこなかった効果によることを明らかにしたものである。
一方、市場条件の分析については、論文"A Model of Costly Voice"を作成した。これは筆者の既存論文"Cheap Talk with an Exit Option: A Model of Exit and Voice"とは異なり、発言の費用をモデルに導入したもので、特に上司の意趣返しの可能性がある状況では、退出の可能性が発言の効果を弱める、という既存研究とは異なる結果を導出した。これは、発言の費用と上司の意趣返しが発言行為をシグナリングとして機能させるため、退出オプションの存在がかえって発言のシグナリング機能を弱めるからである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

組織内条件および市場条件の分析の両面において、筆者の既存研究を踏まえた新しい結果が得られている。この意味において、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

組織内条件の分析については、メッセージの受け手の私的情報がコミュニケーションに及ぼす影響についてより一般的な環境における分析を行う。
一方、市場条件の分析については、既に得られた二つの相反する結果をともに包含するような総合的なモデルを構築することにより、より一般的な含意を明らかにすることを企図する。

次年度使用額が生じた理由

特に研究報告する機会が余り得られなかったため、旅費について持ち越し分が増えてしまった。

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公開日: 2018-12-17  

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