研究課題/領域番号 |
17K03628
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
水上 英貴 青山学院大学, 経済学部, 教授 (30377238)
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研究分担者 |
若山 琢磨 龍谷大学, 経済学部, 准教授 (80448654)
二本杉 剛 大阪経済大学, 経済学部, 准教授 (10616791)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 経済理論 / ゲーム理論 / 遂行理論 / メカニズム・デザイン / 行動メカニズム・デザイン |
研究実績の概要 |
本研究課題の申請時は,理論モデルとして,耐戦略性を満たす社会選択関数が存在する環境を想定していた.ところが,耐戦略性を満たす社会選択関数が存在する環境では,その社会選択関数自体を理論的性能のいい直接表明メカニズムとして利用できることが知られている.したがって,当初の理論モデルとは異なる環境において,メカニズムの性能を検証する方が好ましいという結論に至り,2018 年度に理論モデルの再検討を行った. その結果,2018 年度に,理論モデルを大幅に変更し,ナッシュ遂行を遂行概念とする理論モデルではなく,完備情報下でのメカニズム・デザインという特徴を最大限に生かし,(部分遂行ではあるが) 耐戦略性を満たさない社会選択関数をも遂行できる正直ナッシュ遂行を遂行概念とする理論モデルを構築するという結論に至った. そこで,2019 年度は,正直ナッシュ遂行メカニズムと (遂行率の観点からは理論的に優れている) ナッシュ遂行メカニズムの性能を,経済実験によって比較するための理論モデルを構築した (メカニズムの性能比較は,経済実験での遂行率の比較により行う).そして,同じ社会選択関数を (a) 正直ナッシュ遂行する直接表明メカニズムと (b) ナッシュ遂行するマスキン・メカニズムの性能を比較するための経済実験のデザインを行った. しかしながら,予備実験の実施までは行うことができなかったため,予備実験および本実験の実施は,2020 年度に持ち越しとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2018 年度に理論モデルの構築方針を大幅に変更し,2019 年度に理論モデルの再構築と経済実験のデザインを行ったため,メカニズムの性能を検証するための予備実験および本実験を実施できなかったため.
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今後の研究の推進方策 |
2019 年度に,完備情報下でのメカニズム・デザインという特徴を最大限に生かし,耐戦略性を満たさない社会選択関数をも遂行できる正直ナッシュ遂行を遂行概念とする理論モデルを構築し経済実験のデザインを行った. 今後は,まずは単調性を満たす社会選択関数をターゲットとし,単調性を満たす同じ社会選択関数を (a) 正直ナッシュ遂行する直接表明メカニズムと (b) ナッシュ遂行するマスキン・メカニズムの遂行率を被験者を用いた経済実験によって比較し,正直ナッシュ遂行メカニズムとナッシュ遂行メカニズムの性能を検証する.
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次年度使用額が生じた理由 |
2019 年度に理論モデルの再構築を行ったため,予備実験および本実験を実施することができなかった.理論モデルの再構築と実験のデザインは 2019 年度に完了したため,2019 年度未使用額は,2020 年度に実施予定の予備実験および本実験などで使用する.
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